最新の研究成果

身体検査や血液検査で犬の呼吸器疾患を予測する方法を提案

2025年7月29日

  • 獣医学研究科
  • プレスリリース

概要

犬の呼吸器疾患は緊急性が高く、状態に応じた適切な対応のために、迅速で正確な重症度評価が不可欠です。ヒトの呼吸器疾患においては、呼吸機能評価だけでなく身体検査や血液検査を行うことで、重症度評価の精度を高めています。しかし、獣医療域では呼吸機能評価以外の検査を用いた重症度評価の報告は少なく、その有用性は不明です。

大阪公立大学大学院獣医学研究科の三木 無量大学院生(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻4年)、田中 利幸准教授らの研究グループは、2016年4月から2019年3月に、京都夜間動物救急センターに呼吸器疾患で来院した犬の133症例を対象に、一般的な身体検査や血液検査を統計解析しました。その結果、心拍数、体温、白血球数、血糖値、尿素窒素、リン、乳酸値に有意な差が見られ、特にリンの値が顕著に高いことがわかりました。本研究結果により、リンが犬の呼吸器疾患を予測する指標となり得ることが示唆されました。また、呼吸機能評価を合わせることで、重症度評価の精度が上がることが期待されます。

本研究成果は、2025年7月17日に国際学術誌「PLOS One」にオンライン掲載されました。

pr20250729-01_top

救急医療の現場で呼吸器疾患は一般的に遭遇する疾患です。来院されてから急激に状態が悪くなることも多々あり、簡便に測定可能で、飼い主さまに客観的で正確に現状を説明できる指標が欲しいと思っていました。今回の研究がこれからの発展の一助となり、同じ思いを持つ臨床獣医師の選択肢の一つになれば幸いです。

pr20250729-miki

三木 無量大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】PLOS One
【論 文 名】Predictive value of physical and blood examination findings for short-term mortality in dogs with respiratory disorders
【著  者】Muryo Miki, Keiichiro Mie, Hidetaka Nishida, Hideo Akiyoshi, Toshiyuki Tanaka

【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0328797

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 田中 利幸(たなか としゆき)TEL:072-463-5457
E-mail:t-tanaka[at]omu.ac.jp

三木 無量(みき むりょう)
TEL:075-205-3371
E-mail:animal.hospital.miki[at]gmail.com

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

  • SDGs04