最新の研究成果
オンデマンドバスでヘルシーニュータウンへ~地域の交通問題を解決したい想いがオンデマンドの利用を促進~
2025年10月1日
- 生活科学研究科
- プレスリリース
概要
2024年10月から2025年2月にかけて、泉北ニュータウン地域でオンデマンドバスの実証実験※1が実施されました。オンデマンドバスは、健康上の課題を抱えている人々のラストワンマイルの移動を支える移動手段として期待をされています。
大阪公立大学大学院生活科学研究科 都市科学研究室の加登 遼講師は、上記の実証実験においてオンデマンドバスを利用した人を含む泉北ニュータウンの居住者1,814人を対象にアンケート調査を実施し、利用者の特徴を分析しました。その結果、オンデマンドバスの利用行動は、「地域の交通問題解決のために、オンデマンドバスの利用に積極的に参加したい」などの“市民参画”の想いと、強く相関することが分かりました。その一方で、健康上の課題を抱えている人は、「自宅の近くに停留所がない」や「アプリでの予約方法が難しい」などの障壁により、オンデマンドバスを利用したいと思っていても、利用行動に繋がっていないという課題も判明しました。
本研究成果は、2025年9月16日に、国際学術誌「Transportation Research Interdisciplinary Perspectives」にオンライン掲載されました。
大阪府堺市南区の泉北ニュータウンは、高齢化率が約37%に達しており、急速な高齢化を迎えています。その人口構成比は、日本の10年先の将来を示すと考えられており、ヘルシーニュータウン※2へのリ・デザインが求められています。そこで、泉北ニュータウンでは、産学官民連携による社会実験が進められています。

加登 遼講師
掲載誌情報
【発表雑誌】Transportation Research Interdisciplinary Perspectives
【論文名】Acceptance and Usage of Demand-Responsive Transport among People in Poor Health: Evidence from Senboku New Town
【著者】Haruka Kato
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.trip.2025.101632
資金情報
本研究は、JSPS科研費(24K17421)、JST COI-Next(住民と育む知的インフラ共創拠点JPMJPF2115)、大林財団(2024-27-28)、大阪公立大学(OMU-SRPP2025_YR05)の支援を受けました。
用語解説
※1 泉北ニュータウン地域におけるオンデマンドバスの実証実験:泉北ニュータウン地域における住民の移動課題の解決のため、南海電気鉄道・南海バス・堺市が連携して、2022年度より実施しており、本研究で分析した対象は第三弾の実証実験となる。現在は一連の実証実験が完了し、オンデマンドバス実装化の可能性を検討している。
※2 ヘルシーニュータウン:急速な高齢化が進むオールドニュータウンにおいて、住民が自宅や地域で健康的に暮らし続けられるよう、都市環境の再整備や健康増進を目的とした活動を通じて、持続可能なまちづくりを目指すコンセプト。イギリスでは、2015年以降、国民保健サービス(NHS)が中心となって「Healthy New Towns」プロジェクトを推進しており、ICTを活用した健康支援や都市環境整備など、世界的にも先進的な取り組みが行われている。日本のオールドニュータウンでも、地域の特性を踏まえた新たな取り組みが自発的に広がりつつある。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院生活科学研究科
講師 加登 遼(かとう はるか)
E-mail:haruka-kato[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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