最新の研究成果
病院内の騒音が入院患者に与える影響を明らかに-10年間の文献データを分析-
2025年10月6日
- 看護学研究科
- プレスリリース
概要
医療機器の増加や高度化により病院内の騒音レベルは上昇傾向であり、世界保健機関(WHO)が推奨する騒音基準を大きく上回る状況が、医療現場において常態化しています。こうした環境が入院患者の心身に与える影響を包括的に理解することは、療養環境における音環境の調整において中心的な役割を担う看護師にとって重要です。
大阪公立大学大学院看護学研究科の園田 奈央准教授らの研究グループは、2014年から2023年にかけて発表された関連文献を対象に、主要な文献データベースを用いてスコーピングレビュー※を行い、研究目的に合致する28件を研究対象として抽出しました。これらの論文を調査した結果、病院内の騒音は、入院患者の睡眠時間の短縮や睡眠の質の低下だけでなく、心拍数・呼吸数の増加、不安の増大、せん妄の発症リスクの上昇、さらには再入院リスクの増加にも関連することが明らかとなりました。これらの知見は、騒音が患者の治療経過や回復に及ぼす影響が非常に大きいことを示しています。
本研究成果は、2025年7月1日に国際学術誌「Worldviews on Evidence-Based Nursing」にオンライン公開されました。
本研究では、病院内の騒音が入院患者の健康に与える影響を明らかにしました。病院内の騒音は、入院中だけでなく、退院後にも影響します。患者さんにとってより良い療養環境を実現するために、今後は、騒音低減に向けた取り組みの重要性を広く発信していきたいと思います。

園田 奈央准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Worldviews on Evidence-Based Nursing
【論 文 名】Impact of Environmental Noise on Inpatient Outcomes: A Scoping Review
【著 者】Nao Sonoda, Hideaki Furuki, Akiko Morimoto
【掲載URL】https://doi.org/10.1111/wvn.70056
用語解説
※ スコーピングレビュー:研究分野やトピックに関する既存の文献を広く網羅的に調査し、研究の全体像や傾向、知識のギャップを明らかにするためのレビュー手法。研究の網羅性と透明性を確保する点で重要な意義を持つ。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院看護学研究科
准教授 園田 奈央(そのだ なお)
TEL:06-6645-9053
E-mail:sonoda[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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