最新の研究成果

身体的な痛みが高齢者の自立した生活維持力を低下させると示唆

2025年10月9日

  • 生活科学研究科
  • プレスリリース

概要

起床や就寝、食事、入浴など日常生活を送る上で最低限必要な動作は、基本的日常生活動作(ADL)と呼ばれ、自立した生活を送ることができるかを判断する際の重要な指標として利用されています。一方、買い物や電話、金銭管理、調理、洗濯などは手段的日常生活動作(IADL)と呼ばれ、計画性や判断力、記憶力などの認知機能が必要で、日常生活を送る上で欠かせない比較的複雑な動作を指します。IADLの低下は、生活の自立を困難にし、介護が必要な状況につながることがあるため、予防策が望まれています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の水谷 有紀子大学院生(博士前期課程2年)、鵜川 重和教授らの研究グループは、高齢者の身体的な痛みとIADLの低下に関する過去の研究論文29本を包括的に分析したところ、痛みがあるとIADLの低下につながりやすいことが23本の論文で報告されていました。また、痛みがもの忘れや気分の落ち込み、外出や活動の制限を引き起こし、自立した生活を維持する力の低下に結びつくことが指摘されていることも分かりました。本研究結果により、高齢者の痛みの予防や軽減が、自立した生活を支えるうえで重要であることが示唆されました。

本研究成果は、2025年8月23日に国際学術誌「Geriatrics」にオンライン掲載されました。

本研究では、高齢者によくみられる症状である痛みと、自立した生活に欠かせないIADL(手段的日常生活動作)との関連について、既に分かっている点と明らかになっていない点を整理することができました。今後は社会人大学院生として、現場のデータも活用しながら、理学療法士の視点から痛みを切り口とした介護予防に関するエビデンスを示せるよう、研究を進めていきます。

pr20251009_mizu01水谷 有紀子大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Geriatrics
【論 文 名】A Systematic Review of the Association Between Pain and Instrumental Activities of Daily Living Disability in Community-Dwelling Older Adults
【著  者】Yukiko Mizutani and Shigekazu Ukawa
【掲載URL】https://doi.org/10.3390/geriatrics10050113

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科
教授 鵜川 重和(うかわ しげかず)
TEL:06-6605-2897
E-mail:ukawa[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

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