最新の研究成果
ブラッククミンの抗肥満効果を細胞実験と臨床試験で検証 生活習慣病の予防に役立つ可能性
2025年10月22日
- 生活科学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇マウスの前駆脂肪細胞※1にブラッククミンシードエキスを投与したところ、脂肪滴※2の蓄積が大幅に抑制されること、脂肪細胞に変化する働きが顕著に低下することが判明。
◇ヒト臨床試験において、1日あたり5gのブラッククミンシード粉末を8週間摂取したところ、血中脂質が改善した。
概要
ブラッククミンシードはハーブやスパイスとしてだけでなく、抗酸化作用や抗炎症作用などの機能をもつ薬効植物としても用いられています。
大阪公立大学大学院生活科学研究科の小島 明子准教授、バングラデシュ Chattogram Veterinary and Animal Sciences UniversityのShamima Ahmed助教(本学生活科学研究科博士後期課程3年)らの研究グループは、ブラッククミンシードの抗肥満効果を細胞実験およびヒト臨床試験の両面から検証しました。まず細胞実験では、マウスの前駆脂肪細胞にブラッククミンシードエキスを投与したところ、脂肪滴の蓄積が大幅に抑制されること、脂肪細胞に変化する働きが顕著に低下することが分かりました。次に、バングラデシュの医療研究機関での臨床試験において、1日あたり5gのブラッククミンシード粉末を8週間摂取したところ、血中の中性脂肪、LDLコレステロール、総コレステロールの値が有意に低下し、HDLコレステロール値は上昇傾向を示すなど血中脂質の改善が認められました。本研究結果により、ブラッククミンシードが脂質代謝を改善することが明らかになり、肥満や生活習慣病の予防に役立つ可能性が示唆されました。

本研究成果は、2025年9月10日に国際学術誌「Food Science & Nutrition」にオンライン掲載されました。
私達の研究室では、細胞やモデル動物を用いた基礎研究において、抗肥満効果を有する食品成分を今まで明らかにしてきました。今回、細胞レベルでの研究に加えて、国際共同研究において、ヒト介入試験を行い、血清脂質プロファイルの改善効果を見出すことができました。今後さらに研究を深め、ブラッククミンシードを日常の食生活に上手に取り入れることによって人々の健康に貢献できることを願っています。

小島 明子准教授
用語解説
※1 前駆脂肪細胞:脂肪細胞のもとになる細胞。
※2 脂肪滴:脂肪細胞内の中性脂肪を包み込んだ球状構造のこと。
掲載誌情報
【発表雑誌】Food Science & Nutrition
【論 文 名】Black Cumin Seed (Nigella sativa) Confers Anti‐Adipogenic Effects in 3T3‐L1 Cellular Model and Lipid‐Lowering Properties in Human Subjects
【著 者】Shamima Ahmed, Mohammad Shaokat Ali, Yuki Nishigaki, Ranita Das, Sumsuddin Ahmed Shiblu, Sharmin Akter, Isao Matsui‐Yuasa, Akiko Kojima‐Yuasa
【掲載URL】https://doi.org/10.1002/fsn3.70888
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院生活科学研究科
准教授 小島 明子(こじま あきこ)
TEL:06-6167-1308
E-mail:kojima-yuasa[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
担当:谷
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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