最新の研究成果

呼吸調節機能不全症の有病率が11%であることが判明

2025年11月12日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇約30,000人を対象にした調査で、呼吸調節機能不全症(dysfunctional breathing, DB)が比較的一般的な疾患である可能性を示唆。
◇呼吸器疾患以外(てんかん・脳血管疾患など)もDBとの関連を確認。
◇喫煙および呼吸器疾患の存在が、DBの有病率をさらに上昇させる要因であることが判明。

概要

息がしづらい、胸のあたりが苦しい、頻繁なあくびが出るなどの症状がある、呼吸調節機能不全症(dysfunctional breathing, DB)は、医学的には認識されていますが、一般にはまだ広く知られていません。また、すでに呼吸器疾患を持つ患者におけるDBに関する報告はありますが、一般集団におけるDBの有病率や臨床的特徴は未だ解明されていません。

大阪公立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学の平位 佳歩大学院生(博士課程4年)、山田 一宏講師、浅井 一久准教授らの研究グループは、2024年1月24日から2月27日の間に実施されたインターネット調査JASTIS2024の結果を用いて、男女29,268人を対象にDBの有病率を解析しました。その結果、DBの有病率は11.0%であることが分かりました。また、呼吸器以外(てんかんや脳血管疾患など)の疾患もDBと関連が認められ、これらの結果から、一般集団においてDBは比較的一般的な疾患である可能性が示唆されました。さらに、喫煙と呼吸器疾患の存在がDBの有病率をさらに上昇させることが判明しました。

本研究成果は、2025年11月12日に国際学術誌「Respiratory investigation」にオンライン掲載されました。

<平位 佳歩大学院生のコメント>

本研究により、呼吸調節機能不全症(dysfunctional breathing, DB)が一般集団において11%も認められることを示しました。約3万人のデータ解析には困難を伴いましたが、DBが認識されるきっかけとなれば幸いです。

掲載誌情報

【発表雑誌】Respiratory investigation
【論 文 名】Prevalence of dysfunctional breathing in the Japanese community and the involvement of tobacco use status: The JASTIS study 2024
【著  者】Kaho Hirai, Kazuhiro Yamada, Kazuhisa Asai, Masaya Tsutsumi, Takahiro Ueda, Erika Toyokura, Yuichiro Furukawa, Atsushi Miyamoto, Misako Nishimura, Kanako Sato, Tetsuya Watanabe, Shuichiro Maruoka, Yasuhiro Gon, Takahiro Tabuchi, Tomoya Kawaguchi

【掲載URL】
https://doi.org/10.1016/j.resinv.2025.10.002

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212534525001613

資金情報

本研究は、日本大学、東北大学との共同研究として実施したものであり、第一三共ヘルスケア株式会社、ジョンソンアンドジョンソン株式会社、株式会社データシード、ワークアウトプラス合同会社、厚生労働省科学研究費補助金(23FA1004, 23EA1001)、科学研究費助成事業(25H01079, 24H00663, 23H03160)の支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
准教授 浅井 一久(あさい かずひさ)
TEL:06-6645-3916
E-mail:kazuasai[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:橋本
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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