最新の研究成果

コロナ後遺症と喫煙の関係をタバコ製品種別で調査 ―喫煙形態によって異なる症状が現れることが明らかに―

2025年11月14日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

概要

新型コロナウイルス(COVID-19)に感染後、複数の臓器に影響する症状が少なくとも3か月以上続く「Long COVID」は、高齢者であること、女性であること、肥満体型、ならびに他の疾患を併せ持つことなどが、関連因子として報告されています。一方で、喫煙との関係性については、現時点では明確な結論には至っていません。

大阪公立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学の豊蔵 恵里佳大学院生(博士課程4年)、山田 一宏講師、浅井 一久准教授らの研究グループは、Long COVIDと喫煙の関連性を探るため、28,250人の男女(うち5,068人がCOVID-19既往者)を対象に非喫煙、燃焼式タバコ※1、加熱式タバコ※2、両者併用に分類し、インターネット調査を行いました。その結果、図1に示すとおり、Long COVIDは喫煙状況により影響が異なる可能性があり、燃焼式タバコと加熱式タバコの併用ではLong COVIDを悪化させる可能性も示唆されました。

本研究成果は、2025年11月14日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

LongCOVID

図1 Long COVIDの症状と喫煙の種類の関連性 (●:有意に相関性あり、×:なし)

新型コロナウイルス(COVID-19)感染後に長く続く症状は、多くの人にとって生活の質に関わる大きな問題です。本研究を通じて、喫煙と長引く症状の関係を探り、社会に役立つ知見を届けられたことを嬉しく思います。統計解析には困難もありましたが、成果が禁煙や健康支援の一助となることを願っています。

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豊蔵 恵里佳大学院生

掲載誌情報

【発表雑誌】Scientific Reports
【論 文 名】Dual use of combustible and heated tobacco products associates persistent symptoms with a history of COVID-19: a JASTIS 2023 cross‑sectional study
【著  者】Erika Toyokura, Kazuhiro Yamada, Kazuhisa Asai, Masaya Tsutsumi, Takahiro Ueda, Kaho Hirai, Yuichiro Furukawa, Atsushi Miyamoto, Misako Nishimura, Kanako Sato, Tetsuya Watanabe, Takahiro Tabuchi, Tomoya Kawaguchi

【掲載URL】
https://doi.org/10.1038/s41598-025-22050-x

https://www.nature.com/articles/s41598-025-22050-x

用語解説

※1 燃焼式タバコ:いわゆる紙巻きタバコ。火をつけると高温に達し、6,000種以上もの化学物質が発生する。公衆衛生機関によれば、その内の約100種が発がん性物質を含む有害および有害性成分とされている。
※2 加熱式タバコ:タバコ葉を高温で加熱し、ニコチンを含んだエアロゾル(蒸気)を発生させ、それを吸入する。燃焼式タバコに比べて有害成分の発生は大幅に低減されるが、ニコチンやその他の有害物質が含まれるため、健康へのリスクは存在する。加熱式タバコには IQOS(アイコス)やglo(グロー)、Ploom(プルーム)が含まれる。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
准教授 浅井 一久(あさい かずひさ)
TEL:06-6645-3916
E-mail:kazuasai[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:橋本
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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