最新の研究成果

フレイル進行と腹部肥満の関係を分析~予防のカギは知識と運動~

2025年12月10日

  • 研究推進機構
  • プレスリリース

ポイント

◇単純解析では、腹部肥満の人はフレイル発症率が高い傾向を示した。

◇ 一方でロジスティック回帰分析の結果、腹部肥満そのものは、フレイル進行の直接的な要因ではないことが明らかに。

◇ フレイルに関する知識を持ち、普段から運動習慣のある人ほど、フレイル進行が抑えられることが示され、腹部肥満があっても予防できる可能性を示唆。

概要

心身が虚弱している状態のフレイルは、要介護状態の前段階として注目されており、早期にリスクを把握して予防することが重要です。これまで、肥満はフレイルとは相反する状態と思われてきましたが、近年の研究では、腹部肥満が、運動不足や不適切な食生活、生活習慣病の発症を通じてフレイルの進展に関与する可能性が指摘されています。

大阪公立大学研究推進機構都市健康・スポーツ研究センターの横山 久代教授は、腹部肥満がフレイルの進行に与える影響を明らかにすることを目的に、大阪府在住の2,962人(30~79歳)を対象に、スマートフォン健康アプリを用いたWebアンケートを実施し、分析しました。

その結果、腹部肥満の人はフレイル発症率が高い傾向を示しましたが、運動習慣やフレイル認知度を考慮すると、腹部肥満は独立した危険因子ではないことが明らかになりました。つまり腹部肥満の人は、フレイルについて知り、定期的な運動を行うことでフレイルになるリスクを減らせる可能性が示唆されました。

本研究成果は、2025年11月8日に国際学術誌「Geriatrics」にオンライン掲載されました。

メタボリックシンドロームが気になる働く世代は、フレイルや要介護といった話題は自分とは無関係だと感じるかもしれません。本研究結果が、体重の管理だけでなく、よく体を動かし、フレイルの知識を高めることが将来のフレイル予防につながることを広く知ってもらうきっかけになればうれしく思います。

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横山 久代教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Geriatrics
【論 文 名】Impact of Abdominal Obesity on Frailty Development: A Web-Based Survey Using a Smartphone Health App
【著   者】Hisayo Yokoyama

【掲載URL】 https://www.mdpi.com/2308-3417/10/6/147

用語解説

※ ロジスティック回帰分析:いくつかの要因から「あることが起こるかどうか」を予測するための方法。年齢や性別、生活習慣などいろいろな条件を同時に考慮して、他の影響をできるだけ取り除いたうえで、それぞれの要因がどれくらい関係しているかを調べることができる。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学研究推進機構都市健康・スポーツ研究センター
教授 横山 久代(よこやま ひさよ)
TEL:06-6167-1195
E-mail:yokoyama_hisayo[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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