最新の研究成果
~医療分野における人工超知能との安全な共存に向けて~医療AIの安全な活用に向けたアプローチを整理
2025年12月17日
- 医学研究科
- プレスリリース
概要
人工知能(AI)の進歩により、人間の知能を超える可能性を持つ「人工超知能(ASI)※」の登場が世界的に議論されています。医療現場では、画像診断などでAIがすでに活用されており、ASIは医療の未来に飛躍的な進歩をもたらすと期待されます。その一方で、患者の安全や倫理的価値との整合性を欠いた場合には、深刻なリスクを伴う可能性があります。
大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学の植田 大樹教授らの共同研究グループは、医療分野において ASI を安全に活用するための具体的な解決策を包括的にまとめ、AIの予期せぬ有害な行動や判断ミスを防ぐためのアプローチについて論じました。
本研究による枠組みは、医療機関や AI 開発者が、安全で倫理的なAIシステムを設計・運用する上で重要な指針となることが期待されます。

本総説は、2025 年 11 月 14 日に、国際学術誌「Japanese Journal of Radiology」にオンライン掲載されました。
AIの進化は驚異的なスピードで、私たち医師の能力を凌駕する「人工超知能」の誕生も絵空事ではなくなりつつあります。医療は人の命に関わる分野だからこそ、より一層AIを人間の価値観や倫理と合致(アライメント)する枠組みが重要です。本研究が、人とAIが信頼し合える未来への第一歩となることを願っています。

植田 大樹教授
資金情報
本研究は、JST さきがけ(JPMJPR2521)の支援を受けて行われました。
用語解説
※ 人工超知能(ASI): 科学的創造性、社会的スキルなど、あらゆる分野において人間の脳を遥かに超える能力を持つ理論上のAI。
掲載誌情報
【発表雑誌】Japanese Journal of Radiology
【論 文 名】Artificial superintelligence alignment in healthcare
【著 者】Daiju Ueda, Shannon L. Walston, Ryo Kurokawa, Tsukasa Saida, Maya Honda, Mami Iima, Tadashi Watabe, Masahiro Yanagawa, Kentaro Nishioka, Keitaro Sofue, Akihiko Sakata, Shunsuke Sugawara, Mariko Kawamura, Rintaro Ito, Koji Takumi, Seitaro Oda, Kenji Hirata, Satoru Ide, Shinji Naganawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1007/s11604-025-01907-1
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学
教授 植田 大樹(うえだ だいじゅ)
TEL:06-6645-3831
E-mail:ai.labo.ocu[at]gmail.com
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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