最新の研究成果
国内10都市(札幌〜那覇)の住宅エネルギー消費を解析 ―断熱強化や窓設計の工夫で大幅削減を確認―
2026年1月7日
- 生活科学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇札幌から那覇までの国内10都市で、住宅のエネルギーを2020年代と2080年代でシミュレーションし、断熱性能とWWR(窓の割合)※1を遺伝的アルゴリズム(GA)※2で最適化。
◇札幌は断熱強化で約15,000 kWhの暖房エネルギーを削減し、東京は WWRを調整し約6,800 kWhのエネルギーを削減。
◇那覇は風通しを良くすることで冷房を抑え、高性能窓で南向きの部屋の負荷を23〜27%低減。
概要
日本は地域ごとに気候が違います。また、今後は温暖化の影響で気温がさらに上がると予想されています。しかし、こうした気候の「将来変化」まで考慮し、家の省エネを設計する研究は少ないのが現状です。
大阪公立大学大学院生活科学研究科の袁 継輝准教授らの研究グループは、120.08 m²の2階建て3次元住宅モデルを用いて、国内10都市を対象に、2020年代と2080年代のエネルギーシミュレーションを実施。屋根・外壁・窓の断熱性能(R値)※3およびWWRをGAにより最適化しました。
その結果、札幌のような寒い地域では、家の断熱を強くすると、1年間で約15,000 kWhも暖房に使うエネルギーを削減できることが分かりました。また東京のような温暖な地域では、WWRを0.29にすると、年間で約6,800 kWhのエネルギーが節約できました。
一方那覇では、WWRを0.45にして風通しを良くすることで、冷房のエネルギーを約3,600 kWh分抑える効果がありました。また、性能の高い窓を使うと、南向きの部屋で一番暑くなるときの負荷を23〜27%も減らせることが分かりました。
本研究成果は、2025年11月20日に国際学術誌「Energy Nexus」にオンライン掲載されました。

本研究では、日本各地の多様な気候と将来の温暖化を踏まえ、地域ごとに最適な住宅設計を提示することを目指しました。気候変動・都市暑熱・快適性など多様な要素を統合する作業は困難でしたが、地域特性に応じた設計指針を導けたことは大きな喜びです。より快適で省エネな住環境の実現に貢献したいと思います。
袁 継輝准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Energy Nexus
【論 文 名】Optimization of energy-efficient residential building design in Japan: A climate-responsive approach under current and future scenarios
【著 者】Xiong Xiao, Jihui Yuan, Zhichao Jiao, Zhengsong Lin, Kazuo Emura, Craig Farnham, Jiale Chai, Xiangfei Kong, Yan Ding, Xiaochen Yang, Zhe Tian
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.nexus.2025.100605
資金情報
本研究はJSPS科研費(JP24K05546、JP24K01053)、JST SPRING(JPMJSP2139)の助成を受けて実施されました。
用語解説
※1 WWR(窓の割合):外壁に対して、窓がどれくらいの広さを占めているかを示す数値。採光・風通し・冷暖房の効率に関わる。
※2 遺伝的アルゴリズム(GA):「より良い組み合わせ」を自動で探すコンピュータ手法。生物の進化をまねて、多くの候補から最も良い答えを選び出す。
※3 R値(断熱の強さ):熱を通しにくい度合いを示す数値。大きいほど断熱が良くなり、夏は涼しく・冬は暖かくなる。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院生活科学研究科
袁 継輝(えん けいき)
TEL:06-6605-2833
E-mail:yuan[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:橋本
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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