最新の研究成果

大学生から社会人への移行期の環境変化を追跡調査 ~卒業時の性格特性と職場適応の関係性を明らかに~

2026年1月7日

  • プレスリリース
  • 現代システム科学研究科

ポイント

◇日本の大学生397人を対象に、就職が内定した時期、就職半年後、就職1年後に亘り、性格や人生満足感1などについてアンケートを実施し、就職後の働きやすさや仕事に対する気持ちにどのような関係があるのかを調査。

◇大学卒業時に外向性が高い人や人生に満足していると回答した人は、就職後に自分らしく働けていると感じやすく、大学卒業時に心配性で不安を感じやすいと回答した神経症傾向が高い人は、就職後に仕事を辞めたいと感じやすい傾向があると判明。

概要

大学卒業後の1年間は、就職などにより生活のリズムや環境が大きく変わると考えられます。どのような性格の人が自分らしく働くことができていると感じやすく、どのような人が仕事を辞めたいと感じやすいのか、卒業前から就職後までを通して調査した研究は、これまでほとんどありませんでした。

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科の畑野 快准教授らの研究グループは、大学卒業時の性格(ビッグファイブ2)や人生への満足度が、就職後の働きやすさや仕事に対する気持ちにどのようにつながるのかを調べるため、日本の大学生397人を対象に、就職が内定した時期、就職半年後、就職1年後に亘り、性格や人生満足感などについてアンケート調査を行いました。その結果、卒業時のアンケートにおいて人と積極的に関わることのできる外向性が高い人や人生に満足していると回答した人は、就職後に自分らしく働けていると感じやすく、卒業時のアンケートにおいて心配性で不安を感じやすいと回答した神経症傾向が高い人は、就職後に仕事を辞めたいと感じやすい傾向がありました。本研究結果により、就職後の仕事に対する気持ちは、大学卒業時の性格や人生への満足度と関係していると考えられ、教育の中でどのような特性を伸ばすべきか、また、企業がどのような人を採用すべきかなどについて重要な示唆を与えます。

本研究成果は、2025年11月14日に国際学術誌「Journal of Adolescence」にオンライン掲載されました。

<研究者からのコメント>

大学から仕事への移行は若者の意識に大きな変化をもたらします。その変化を円滑に乗り越えられる人とそうでない人の違いが、どのような心理特性に由来するのか疑問を抱いてきました。今回の結果はその問いに重要な示唆を与えるものです。今後も精緻なデータを蓄積し、移行期に悩む若者を支援する方策につなげていきたいと考えています。

pr202501_hatano01s畑野 快准教授

掲載紙情報

【発表雑誌】Journal of Adolescence
【論 文 名】The Big Five, Life Satisfaction, and Job Identity Development: A Longitudinal Study on the School-to-Work Transition
【著  者】Kai Hatano, Shogo Hihara, Kazumi Sugimura, Jun Nakahara, Megumi Ikeda, Satoshi Tanaka, Oana Negru-Subtirica

【掲載URL】https://doi.org/10.1002/jad.70079

資金情報

本研究は、公益財団法人電通育英会から研究助成を受けて実施されました。

用語解説

※1 人生満足感:自分の人生に対してどの程度満足しているかを問う指標。

※2 ビッグファイブ:人の性格を5つの側面から捉える代表的モデルのこと。

神経症傾向:不安や緊張のしやすさ、環境への過敏性
外向性:社交性や他者との関わりへの積極性
開放性:新しい経験への関心や探求心
協調性:対人関係を円滑に保とうとする傾向
勤勉性:計画性、自己管理能力、目標達成に向けた粘り強さ

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院現代システム科学研究科
准教授 畑野 快(はたの かい)
TEL:072-254-9614
E-mail:kai.hatano[at]omu.ac.jp [at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp [at]を@に変更してください

該当するSDGs

  • SDGs04