最新の研究成果
都市ガス由来のメタン排出を通年調査 ~タワー観測と移動観測で相補的に分析~
2026年1月14日
- 農学研究科
- プレスリリース
ポイント
◇大阪都市部のメタンとエタンの排出量を、高所タワーに設置した観測機器を用いて30分ごとにリアルタイムにモニタリングし、都市ガス起源のメタン排出量を高精度に推定。
◇一年間の観測結果により、メタン排出量の65%~78%が都市ガス起源であることが判明。
◇堺市内での約2,000 kmの移動観測による結果をタワー観測と合わせて検証することで、都市ガス起源のメタン排出の実態を明らかにした。
概要
都市域で排出されるメタンガスの削減は、気候変動対策において重要です。都市ガスの主成分はメタンですが、エタンも含有しているため、エタンを計測することで都市ガス起源のメタン排出を評価することができます。しかし、エタンの排出量を直接的に測定する研究はこれまで行われていませんでした。
大阪公立大学大学院農学研究科の植山 雅仁准教授、国立環境研究所の梅澤 拓主任研究員、寺尾 有希夫主任研究員、米国 Environmental Defense Fund(EDF)の共同研究チームは、大阪都市部のメタンとエタンの排出量を、堺市内の高所タワーに設置した観測機器を用いて30分ごとにリアルタイムでモニタリングし、都市ガス起源のメタン排出量を高精度に推定しました。一年間の観測結果から、メタン排出量の65%~78%が都市ガス起源であることが判明しました。さらに、堺市内での約2,000 kmの移動観測から得られたメタン排出地点の地図を、タワー観測と合わせて検証することで、都市ガス起源のメタン排出の実態を明らかにしました。本研究結果は、都市域のメタン排出量を起源別に直接評価する新たな手法を提示し、都市ガス網の漏えい監視の高度化や、地域ごとの対策優先度の明確化など、実効性の高い温室効果ガス削減施策の立案に具体的な科学的根拠を提供します。

本研究成果は、2025年11月26日に国際学術誌「Environmental Science & Technology」にオンライン掲載されました。
世界で初めて都市域のエタン排出量を渦相関法※で測定し、得られたデータを見た瞬間は大きな感動でした。一年間、欠測なく観測を続けるため細心の注意を払い、十分に公開できるデータが蓄積されていくのを心待ちにしていました。

植山 雅仁准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Environmental Science & Technology
【論 文 名】Natural Gas and Biogenic CH4 Emissions from an Urban Center, Sakai, Japan, Based on Simultaneous Measurements of CH4 and C2H6 fluxes Based on the Eddy Covariance Method
【著 者】Masahito Ueyama*, Akira Nakaoka, Taku Umezawa, Yukio Terao, Mark Lunt
【掲載URL】https://doi.org/10.1021/acs.est.5c09629
資金情報等
本研究の一部は、Environmental Defense Fund、JSPS科研費(JP24K03065)からの支援を受けて実施しました。
用語解説
※ 渦相関法:大気中で常に生じる乱流による風のゆらぎとガス濃度を高頻度に測定し、乱流が運ぶ物質の移動速度を捉えることで、地表と大気の間を行き来するガスの輸送量(フラックス)を連続的に直接計測する手法。
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院農学研究科
准教授 植山 雅仁(うえやま まさひと)
TEL:072-254-9432
E-mail:mueyama[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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