最新の研究成果

家事などを含む総労働時間の長さが健康リスクを高める ~健康格差に時間貧困やジェンダー不均衡の視点を~

2026年1月15日

  • プレスリリース
  • 経済学研究科
  • 看護学研究科

ポイント

◇有償労働だけでなく、家事・育児・介護などの無償労働を含めた総労働時間が、非回復性睡眠※やメンタルヘルスに及ぼす影響を検証。

◇男女ともに総労働時間が長いと非回復性睡眠のリスクが高かった。

◇女性ではメンタルヘルス不良のリスクも高い一方で、男性ではメンタルヘルスへの影響は認められなかった。

概要

日本を含む先進国では共働き(共稼ぎ)世帯が増加しており、多くの中年層が有償の就労に加え、家事などの無償のケア労働にも従事しています。このような状況は、有償労働や無償労働に追われ、生活に必要な時間を十分に確保できない状態のいわゆる『時間貧困』に陥りやすく、慢性化すると心理的ストレスに繋がる可能性が指摘されています。
しかし従来の研究は、有償労働時間のみに着目するものが多く、「総労働時間(有償労働時間+無償労働時間)」が及ぼす影響については、十分に検討されてきませんでした。

大阪公立大学大学院看護学研究科の森本 明子教授と経済学研究科の杉田 菜穂教授らの研究グループは、40~64歳の就労者3,959人を対象としたアンケート調査結果を分析し、総労働時間と非回復性睡眠およびメンタルヘルスとの関連を包括的に検証しました。

その結果、女性は有償労働時間が男性より短いにもかかわらず、総労働時間は男性より長いことが明らかとなりました。さらに男女ともに、総労働時間が長いと非回復性睡眠のリスクが高いことが確認され、さらに女性においてはメンタルヘルス不良のリスクも高いことが示されました。一方、男性ではメンタルヘルスとの関連は認められませんでした。
本研究は、健康政策や働き方改革において、無償労働を含めた総労働時間を考慮する必要があることを強く示唆しています。

本研究成果は、2026年1月8日に社会科学と健康科学の学際領域におけるリーディングジャーナルである「Social Science & Medicine」にオンライン掲載されました。

総労働時間に着目することで、見過ごされがちな健康課題を可視化しました。社会課題の発見と解決には、複数の専門分野が連携し、多面的・多角的に捉える視点が不可欠です。本研究は、看護学と社会政策学を横断する学際的な取り組みとして実施しました。

press_0114_morimoto02森本 明子教授

政策が女性に不利益をもたらさないように政策立案から決定、実施のあらゆる段階に男女が平等に参加する、あらゆる分野をジェンダー平等の視点で見直すという「ジェンダー主流化」が求められている背景がわかる論文ではないかと思っています。

press_0114_morimoto01杉田 菜穂教授

掲載紙情報

【発表雑誌】Social Science & Medicine
【論 文 名】Associations of total daily working hours encompassing unpaid care and domestic work with nonrestorative sleep and mental health in middle-aged Japanese men and women: a cross-sectional study
【著  者】Akiko Morimoto, Hideaki Furuki, Naho Sugita, Risako Hayashi, Nao Sonoda

【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2026.118965

用語解説

※ 非回復性睡眠:睡眠を取っても回復感や休養感が得られない状態。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院看護学研究科
教授 森本 明子(もりもと あきこ)
TEL:06-6645-9048
E-mail:morimoto[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp 

※[at]を@に変更してください

該当するSDGs

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