最新の研究成果

~レアアースのさらなる有効利用を目指して~ 水中で光る金属錯体の新たな特性を発見

2026年1月20日

  • 理学研究科
  • プレスリリース

ポイント

◇レアアースと有機分子からなる金属錯体が、水中で自然に集まって小さな粒子を形成し発光することを見出した。

◇その発光強度が溶液の酸性・アルカリ性(pH)によって変化することが判明。

概要

水溶液中で光る金属錯体は、水溶液中に溶けているイオンや分子を検出する化学センサーや、生体中のバイオセンサーなどに応用されています。また、レアアースの発光は、周りの環境が変わっても発光色が変わりにくい特性があることから、レーザーなどの発光材料として広く用いられています。

大阪公立大学大学院理学研究科の三枝 栄子講師らの研究グループは、希土類イオンと有機分子からなる金属錯体が水中で自然に集まって小さな粒子を形成し発光すること、また、その発光強度が溶液の酸性・アルカリ性(pH)によって変化することを見出しました。この錯体分子は、石けん分子のように水に親和する部分と油に親和する部分の両方をもち、水溶液中で直径数十ナノメートルという非常に小さな粒子を形成します。そして、この水溶液に紫外光を当てると、可視光発光を示し、さらに、有機分子にピリジン環という光を吸収しやすい構造を導入することで、発光増強とpH応答性の二つの機能を付与することに成功しました。本研究結果により、分子集合体のセンサー材料としての応用が期待されます。

本研究成果は、2025年9月19日に国際学術誌「Chemistry−A European Journal」にオンライン掲載され、2025年11月6日にIssue62のCoverとして採択されました。

pr20260120_mieda_img01採択された表紙絵と同様のイラスト

「レアアース」と聞くと「貴重な資源」、と思い浮かべるかもしれません。しかし、ほんのわずかな量で大きな効果を発揮する点が、レアアースが現代社会において必要とされている理由の一つだと思います。希土類錯体は、MRI造影剤として臨床でも使われる分子ですが、発光体としても注目されています。この分子が大きく羽ばたいていくことを願い、白鷺をモチーフとして表紙を描きました。

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三枝 栄子講師

掲載誌情報

【発表雑誌】Chemistry−A European Journal
【論 文 名】pH-Dependent Luminescence of Self-Assembly Tb3+ Complexes with Photosensitizing Units
【著  者】Eiko Mieda, Tatsuya Watanabe, Ryusei Morita, Hiroyuki Miyake, Satoshi Shinoda

【掲載URL】https://doi.org/10.1002/chem.202502378

資金情報

本研究は、大阪公立大学RESPECT共同研究助成、科学研究費補助金基盤研究(C)、プロテリアル材料科学財団の支援の下で実施されました。

用語解説

※ 希土類:周期表3族元素のスカンジウムSc、イットリウムY、および第6周期のランタンLaからルテチウムLuまでの15元素をあわせた17元素の総称。英語のRare earth(レアアース)の和訳。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 理学研究科
講師 三枝 栄子(みえだ えいこ)
TEL:06-6605-3196
E-mail:mieda[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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