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育児休業拡充を左右するのは“社会文化的価値軸”~21か国の比較分析で明らかに~

2026年1月29日

  • プレスリリース
  • 法学研究科

ポイント

OECD加盟国の21か国を対象に、約50年間にわたる育児休業制度の法定期間の変化を分析。

◇分析には、従来指標の政党類型(社民・キリスト教民主など)ではなく、選挙公約から推定される二次元の政党位置1(①社会経済的左右軸と②社会文化的軸〔リバタリアン2-権威主義3〕)を政党の評価に用いた。

◇社会文化的にリバタリアンな政権の方が、育児休業制度を拡充しやすいことが明らかに。

概要

育児休業制度は、子育てと仕事の両立を支える重要な仕組みとして各国で拡充されてきました。従来の研究では、社会民主主義政党やキリスト教民主主義政党が拡充の主な推進役とされてきましたが、政党類型だけでは政策変化の理由を十分に説明できませんでした。

大阪公立大学大学院法学研究科の稗田 健志教授は、OECD加盟国の21か国を対象に、19702021年における育児休業制度の法定期間の変化要因を混合効果順序ロジットモデル4で分析。政権の政策位置は、選挙公約から二次元の政党位置(①社会経済的左右軸と②社会文化的軸〔リバタリアン-権威主義〕)を推定しました。

その結果、育児休業の拡充を左右するのは社会経済軸よりも社会文化軸であり、社会文化的にリバタリアンな政権ほど、父親休暇や育児休業などの制度を拡充しやすいことが明らかになりました。本研究は、従来の政党類型による説明の背後にある、政党の政策位置という一般化された尺度でメカニズムを示したことに意義があります。

本研究成果は、2026年1月20日に国際学術誌「Journal of European Social Policy」にオンライン掲載されました。

育児休業は「家族の問題」であると同時に、働き方やジェンダー平等を左右する社会の基盤です。本研究は、制度拡充を動かす政治の力学を可視化し、社会文化的な価値観上の対立が近年の福祉国家の変容を規定していることを明らかにしました。長期かつ多国間比較のデータ整備は大変でしたが、理屈の通る分析結果が得られたことが大きな励みです。

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稗田 健志教授

掲載紙情報

【発表雑誌】Journal of European Social Policy
【論 文 名】Beyond left and right: Socio-cultural determinants of parenting leave policy in advanced democracies
【著  者】Hieda, Takeshi

【掲載URL】https://doi.org/10.1177/09589287251410874

用語解説

※1 二次元の政党位置:政党の考え方を、2つの軸で地図のように表したもの。政党がどのような方向性を持っているかを立体的に理解できる。

 ※2 リバタリアン:個人の自由や自律、自己決定を重視し、多様な生き方や価値観を尊重する態度を指す。国家や社会が私生活に過度に介入することには慎重になりやすい傾向がある。

 ※3 権威主義:社会の秩序や規律を守ることを重視し、伝統的な価値観や権威への服従を求める態度を指す。逸脱や多様な生き方を排除する傾向がある。

 ※4 混合効果順序ロジットモデル:アンケートや評価データのような順序があるカテゴリを分析するための統計モデル。グループごとの違い(ランダム効果)を考慮しながら、全体の傾向(固定効果)も推定できる。これにより、個人差や環境差を踏まえたより精度の高い分析が可能となる。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院法学研究科
教授 稗田 健志(ひえだ たけし)
TEL:06-6605-2301
E-mail:thieda[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp 

※[at]を@に変更してください

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