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男性ホルモン減少×果糖摂取が脂肪肝を相乗的に促進 ~腸内細菌の働きによるピルビン酸増加が原因と判明~

2026年2月3日

  • 農学研究科
  • プレスリリース

発表者

大阪公立大学大学院農学研究科 高橋 央樹大学院生、原田 直樹准教授、山地 亮一教授、
長岡香料株式会社 杉本 圭一郎博士、東京医科大学、The Lundquist Institute at Harbor UCLA Medical Center

概要

本研究グループは、男性ホルモンの減少と果糖(フルクトース)の摂取により、脂肪が相乗的に肝臓へ蓄積すること、また、この脂肪蓄積の要因は、腸内細菌の働きによるピルビン酸1の増加が原因であることを明らかにしました。

本研究成果は、2026年1月6日に国際学術誌「American Jornal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」にオンライン掲載されました。

pr202602_harada男性ホルモン減少とフルクトース摂取による脂肪肝発症メカニズム

ポイント

  1. 「男性ホルモンの減少」と「フルクトースの摂取」に着目し、マウスを用いて肝臓への影響を検証。
  2. 2つの要因が組み合わさることで、脂肪が相乗的に肝臓へ蓄積することが判明。
  3. 腸内細菌叢の変化に依存して腸内のピルビン酸が増加していることを発見。
  4. マウス由来の初代肝細胞※2を用いて、ピルビン酸が直接肝臓の脂肪蓄積を促進することを確認。

<研究者のコメント>

これまで単なる代謝中間体と考えられてきたピルビン酸が、腸内細菌に関連する代謝物として脂肪肝を促進する因子となることが分かりました。脂肪肝の予防や治療につなげるため、さらに研究を進めていきたいと思います。

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高橋 央樹大学院生

研究の背景

現在、世界の成人男性の約4割が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)という肝臓の病気に罹患していると言われており、社会問題となっています。MASLDの初期段階である脂肪肝は、肥満や2型糖尿病に加えて男性ホルモンの減少や清涼飲料水などに含まれる果糖(フルクトース)の摂取などが発症リスクを上昇させる因子になります。しかし、これらの因子が組み合わさったときにどのような影響が出るのかについては詳しく分かっていませんでした。

研究の内容

本研究では「男性ホルモンの減少」と「フルクトースの摂取」という2つの要因に着目し、マウスを用いて肝臓への影響を検証しました。その結果、それぞれの要因が単独の場合では肝臓の中性脂肪量の変化はわずかでしたが、2つが組み合わさることで、脂肪が相乗的に蓄積することを発見しました。このメカニズムを調べると、腸内細菌叢の変化に依存して腸内の「ピルビン酸」が増加していることが分かりました。さらに、マウス由来の初代肝細胞を用いた実験により、ピルビン酸がフルクトースと協調的に作用して、肝細胞における中性脂質蓄積を促進することが明らかになりました。

期待される効果・今後の展開

本研究により脂肪肝の進展に関わる新たな腸内細菌関連代謝物を特定しました。また、独立した因子が重なることで相乗的に作用するメカニズムを明らかにしました。今後は、ピルビン酸が中性脂肪を蓄積させる仕組みを解明し、治療薬の開発や食品による予防法の確立につなげていくことが期待されます。

資金情報等

本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費(JP22H02289、JP25K01971)および長岡香料株式会社(共同研究)からの支援を受けて実施しました。

用語解説

※1 ピルビン酸:ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)を分解してエネルギー(ATP)を生産する経路でできる中間物質であり、アセチルCoA(エネルギー生産の中継物質であり脂肪酸を作る材料の起点)を介して脂肪酸合成の炭素源にもなる。

※2 初代肝細胞:動物の新鮮な肝臓から直接採取した培養可能な細胞で、生体内の機能を保持した細胞として研究に用いられる。

掲載誌情報

【発表雑誌】 American Jornal of Physiology-Endocrinology and Metabolism
【論文名】 Testosterone deficiency synergistically exacerbates fructose-induced hepatic steatosis through gut microbiota and pyruvate in mice
【著者】 Hiroki Takahashi, Naoki Harada, Yohei Hayamizu, Erdenetsogt Dungubat, Masami Nakazawa, Tomoya Kitakaze, Keiichiro Sugimoto, Hiroshi Inui, Eiji Yoshihara, Yoshihisa Takahashi, and Ryoichi Yamaji

【掲載URL】 https://doi.org/10.1152/ajpendo.00518.2025

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院農学研究科
准教授 原田 直樹(はらだ なおき)
TEL:072-254-9454
E-mail:naoki.harada[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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