最新の研究成果
人工光合成研究はどこまで進んだか ~第一人者が歴史と現状を発表~
2026年2月6日
- 研究推進機構
- 理学研究科
- プレスリリース
発表者
大阪公立大学 人工光合成研究センター 天尾 豊教授
概要
本研究者は、自然の光合成の概要、人工光合成の原理や研究の歴史、二酸化炭素の回収・利用・貯留技術などについて多くの研究論文を網羅し、総説論文としてまとめました。特に、二酸化炭素の固定によるプラスチック原料などの有用物質への変換技術について、先駆的な研究を紹介しています。また、自然の光合成と人工技術を連携させた半人工光合成について、本研究者自身の成果を含めて現状を解説しました。
本研究成果は、2026年1月8日に化学分野を代表する総説論文誌「Chemical Reviews」にオンライン掲載されました。
図1 半人工光合成の概要図
光触媒(紫)・電子メディエータ※(赤)・生体触媒(緑)で構成される半人工光合成システムが連携し、太陽光で二酸化炭素を有用物質に変換しているイメージを示している。
ポイント
- 自然の光合成の概要や、さまざまな人工光合成の原理や研究の歴史、二酸化炭素の回収・利用・貯留技術などについて400本の研究論文を網羅し、総説論文としてまとめた。
- 自然の光合成を模倣した、二酸化炭素の固定によるプラスチック原料などの有用物質への変換技術について、先駆的な研究を紹介。
- 自然の光合成と人工技術を連携させた半人工光合成について、本研究者自身の成果を含めて現状を解説。
<研究者のコメント>
自然の光合成の概要と人工光合成の歴史がわかる総説論文です。1980年代の先駆的な二酸化炭素から有用物質を作り出す人工光合成研究から現代に至るまでの研究を網羅しています。今後の人工光合成技術の設計に貢献できればと思います。

天尾 豊教授
研究の背景
植物が太陽エネルギーを糖に変換するプロセスである自然の光合成において、エネルギー変換効率は約1〜2%と高くありません。この問題を克服するために、自然の光合成と人工技術を連携することで、太陽光から燃料や付加価値物質を高効率で生成する新しい研究分野として「半人工光合成」が提案されています。半人工光合成は、人工色素による幅広い太陽光の吸収と燃料や付加価値物質生成に特化した触媒との連携により、自然の光合成を超える高いエネルギー変換効率を達成する技術につながると期待されています。
研究の内容
本総説論文では、自然の光合成の概要、さまざまな人工光合成の原理や歴史とともに、二酸化炭素回収・利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage; CCUS)技術に資する生体触媒と光触媒とで構成される半人工光合成について、網羅的に紹介しています。広く研究されている半人工光合成を用いた水素生成や、二酸化炭素のギ酸への還元に関する研究は簡単な紹介にとどめ、特に自然の光合成を模倣した二酸化炭素の固定によるプラスチック原料などの有用物質への変換について先駆的な研究も紹介し、歴史がわかる内容にしました。さらに、自身の研究グループの研究を含め、半人工光合成の現状を解説しました。

図2 光触媒色素・電子メディエータ・生体触媒で構成される二酸化炭素から有用物質を生産するための半人工光合成の概念図
期待される効果・今後の展開
二酸化炭素から有用な物質を作り出す、生体触媒と光触媒で構成される半人工光合成は、今後CCUS技術としての価値が高まると期待されています。今後研究が進むことにより、二酸化炭素を長期に有機分子に固定し、有用物質として利用できる技術への展開が期待されます。
資金情報
本総説論文で紹介した研究の一部は、科学研究費助成事業 基盤研究(B)及び特別推進研究の助成を受けたものです。
用語解説
※ 電子メディエータ:電子をやり取りするための分子
掲載誌情報
【発表雑誌】 Chemical Reviews (IF=55.8)
【論文名】 Photo/Biohybrid Catalytic System for Application in Semiartificial Photosynthesis of CO2 to Chemicals
【著者】 Yutaka Amao
【掲載URL】 https://doi.org/10.1021/acs.chemrev.5c00754
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学 人工光合成研究センター
教授:天尾 豊(あまお ゆたか)
TEL:06-6605-3726
E-mail:amao[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:谷
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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