最新の研究成果

脆弱性骨折や転倒に関連する生活習慣因子を特定~大阪在住高齢者4,967人の大規模調査で明らかに~

2026年4月21日

  • 医学研究科
  • プレスリリース

発表者

大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学 岩前 真由病院講師、玉井 孝司講師、寺井 秀富教授、大阪公立大学医学部附属病院 中村 博亮病院長

概要

本研究グループは、大阪府在住の高齢者4,967名を対象にアンケート調査を実施し、脆弱性骨折や転倒に関連する因子を明らかにしました。また、身体活動は脆弱性骨折や転倒とは関連を示さなかった一方で、健康関連QOL(生活の質)の向上に有意に寄与することが確認されました。

本研究成果は、2026年3月24日に国際学術誌「BMC Geriatrics」にオンライン掲載されました。

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ポイント

  1. 脆弱性骨折や転倒は、「複数の薬を同時に服用している状態」や「ダイエットなどの意図がないにもかかわらず体重が減ってしまう状態」といった、改善可能な要因と関連していることが示された。
  2. 身体活動は脆弱性骨折や転倒との関連は認められかった一方で、健康関連QOLの向上に寄与していることが明らかになった。
  3. 大阪在住高齢者に対する実践的な介入策を検討するうえで、基盤となる知見。

<研究者のコメント>

本研究は、地域高齢者の健康づくりを支援する「WHERETO project」から得られた知見です。本研究により、身体活動量が高いことは骨折や転倒の予防とは直接結びつかない一方で、健康的な生活を送るうえで非常に重要であることが明らかになりました。大阪在住の皆さまには、ぜひ日々の外出機会を増やし、無理のない範囲で身体活動量を高めることで、より健康で質の高い生活を送っていただきたいと考えています。

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岩前 真由病院講師

研究の背景

高齢化の進行に伴い、脆弱性骨折や転倒は健康寿命を短縮する重要な要因として注目されています。脆弱性骨折や転倒は生活習慣や薬剤使用などが関与すると考えられていますが、これらを包括的に評価した研究は十分ではありません。また、身体活動が骨折や転倒の予防に有効かどうかについては、肯定的な報告と否定的な報告が混在しており、明確な結論が得られていません。さらに、多剤併用や体重減少といった修正可能な因子の重要性についても、体系的な整理が進んでいないのが現状です。このような背景から、本研究では脆弱性骨折や転倒に関連する因子を総合的に明らかにすることを目的としました。

研究の内容

本研究は、大阪府在住の高齢者(60歳以上)4,967名を対象にオンラインアンケート調査を実施し、脆弱性骨折および転倒に関連する要因を横断的に解析しました。その結果、脆弱性骨折については「女性」「多剤併用」「転倒歴」「意図しない体重減少」がそれぞれ独立して関連していることが明らかになりました。転倒については、「睡眠薬の使用」「多剤併用」「意図しない体重減少」が関連因子として示されました。一方で、これまで議論の分かれていた身体活動については、脆弱性骨折・転倒のいずれとも関連は認められませんでした。また、身体活動は健康関連QOL(生活の質)の向上には有意に寄与しており、健康維持の観点から重要な役割を果たすことが示唆されました。

期待される効果・今後の展開

本研究により、多剤併用や栄養状態といった修正可能な因子が骨折や転倒に関与することが示されました。これらの結果は、薬剤調整や栄養介入を含めた包括的な予防戦略の重要性を示唆しています。また、身体活動は骨折・転倒予防とは異なる観点から、健康QOL向上のために推進すべきであると考えられます。本研究は地域在住高齢者に対する実践的な介入の基盤となる知見を提供するものです。今後は縦断研究や介入研究により、因果関係の検証を進めていく必要があります。

資金情報

本研究は、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)(JPJS00420230008)の支援を受けて実施しました。

用語解説

※ WHERETO project:World’s Healthiest EldeRlies Enjoy their Time in Osakaの略であり、「世界で一番健康でアクティブな高齢者が暮らす大阪」をめざす、大阪公立大学と大阪府・大阪市の共創プロジェクトです。(https://www.omu.ac.jp/think-tank/info/project/entry-87998.html

掲載誌情報

【発表雑誌】 BMC Geriatrics
【論文名】 Lifestyle factors, including physical activity status, associated with fragility fractures and falls: a cross-sectional study
【著者】 Masayoshi Iwamae, Koji Tamai, Mitsuhiko Ikebuchi, Shinji Takahashi, Yumi Higuchi, Kazuki Uemura, Masaya Ueda, Kazunobu Okazaki, Hisayo Yokoyama, Haruka Kawabata, Hiroaki Nakamura & Hidetomi Terai

【掲載URL】 https://doi.org/10.1186/s12877-026-07344-7

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院医学研究科整形外科学
岩前 真由(いわまえ まさよし)
TEL:06-6645-3851
E-mail: m-iwamae[at]omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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