最新の研究成果
中年期の約4割が「眠っても疲れが取れない」状態~心身の健康不良リスクが約2倍に~
2026年5月29日
- 看護学研究科
- プレスリリース
発表者
大阪公立大学大学院看護学研究科 森本 明子教授、古木 秀明講師
概要
本研究グループは、非回復性睡眠※と主観的な心身の健康との関連を明らかにするため、40~64歳の地域住民(大阪府)を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、約4割が非回復性睡眠に該当し、非該当者と比べて主観的な心身の健康不良リスクが約2倍も高いことを明らかにしました。
本研究成果は、2026年5月15日に国際学術誌「JMA Journal」にオンライン掲載されました。
ポイント
- 中年期では36.6%の人が非回復性睡眠に該当し、睡眠の質の問題が広く存在することが明らかに。
- 非回復性睡眠は、主観的な身体的・精神的健康不良のリスクを約2倍に高める。
- 現病歴のない人に限定しても同様の関連が見られ、非回復性睡眠が中年期の健康リスクを把握する重要な指標となる可能性を示した。
<研究者コメント>
中年期の人々の健康において非回復性睡眠はとても重要です。以前の研究で、有償労働だけでなく、家事・育児・介護などの無償労働を含めた総労働時間が、非回復性睡眠のリスクを高めることを明らかにしており、社会的な取り組みが必要と言えます。
関連プレスリリース:https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-21982.html
森本 明子教授
<研究者コメント>
本研究では、非回復性睡眠は主観的な心身の健康不良と関連しており、その傾向は全体集団だけでなく、現病歴のない人に限定した分析においても一貫して認められました。こうした結果は、非回復性睡眠が中年期の人々の健康を守る上で重要な指標であることを示唆しています。
古木 秀明講師
研究の背景
主観的な心身の健康(自分自身の心身の健康をどう感じているか)は、将来の生活の質(Quality of Life)、罹患率、死亡率と関連する重要な指標であることが分かっています。特に中年期は、慢性疾患や心理社会的ストレスへの脆弱性が高まる時期で、中年期における主観的な心身の健康の不良は、早期死亡、心血管疾患、糖尿病、うつ病のリスク増加、さらにはその後の認知機能や身体機能の低下とも関連することが報告されています。そのため、中年期の主観的な心身の健康に関連する修正可能な要因を明らかにすることは重要です。
近年、中年期の人々において睡眠に関する訴えが増加しており、非回復性睡眠も頻繁に報告されています。しかし、非回復性睡眠と主観的な心身の健康との関連はほとんど研究されていません。そこで本研究では、日本の中年期の人々を対象に、非回復性睡眠と主観的な心身の健康の不良との関連を検討しました。
研究の内容
本研究では、40~64歳の地域住民(大阪府)11,086人を対象にアンケート調査を行い、そのデータを分析しました。その結果、11,086人のうち4,559人(36.6%)が非回復性睡眠に該当しました。加えて、非回復性睡眠の該当者は非該当者に比べて、主観的な身体的健康不良のリスクが約2.1倍、精神的健康不良のリスクが約2.2倍高いことが明らかになりました。
また、11,086人のうち現病歴のない3,658人に限定して分析を行った結果、1,477人(40.4%)が非回復性睡眠に該当しました。この集団において、非回復性睡眠の該当者は非該当者に比べて、主観的な身体的健康不良のリスクが約2.6倍、精神的健康不良のリスクが約2.5倍高いことが明らかになりました。
期待される効果・今後の展開
本研究は、非回復性睡眠が中年期の人々の主観的な心身の健康に強く関連しており、心身の健康リスクを早期に発見するための重要な指標となる可能性を示しました。今後は健康診断や健康支援などにおいて、睡眠時間だけでなく非回復性睡眠を確認・評価することが重要と言えます。また、回復感や休養感が得られる睡眠を促進する支援も重要です。
用語解説
※ 非回復性睡眠:睡眠を取っても回復感や休養感が得られない状態。
掲載誌情報
【発表雑誌】 JMA Journal
【論文名】 Nonrestorative Sleep and Poor Self-Reported Physical and Mental Health among Middle-Aged Japanese Adults: A Cross-Sectional Study
【著者】 Akiko Morimoto, Hideaki Furuki, Liqian Sun, Aina Muta, Nao Sonoda
【掲載URL】 https://doi.org/10.31662/jmaj.2025-0464
https://www.jmaj.jp/detail.php?id=10.31662%2Fjmaj.2025-0464
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院看護学研究科
教授 森本 明子(もりもと あきこ)
TEL:06-6645-9048
E-mail:morimoto[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先
大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
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