最新の研究成果
機能性米「wx ae(WE米)」に関する新たな成果 ~新食品の素材としての活用や商品開発への応用が期待~
2026年8月5日
- 研究推進機構
大阪公立大学 食品プロセス工学講座の北村 進一特任教授と竹満 初穂特任准教授らの研究グループは、JA北大阪と長年にわたる共同研究成果として「wx ae(WE米)」を開発しました。従来の交配・選抜方法により、うるち米のもつ2つの遺伝的特徴——アミロースをつくらない waxy(wx)と、特殊なデンプン構造をもたらす amylose extender(ae)——を併せもつ品種です。この学術名にちなみ、「WE米(うぃまい)」と名づけられました。既存のうるち米からの品種改良によるもので、遺伝子組換えではなく、通常のお米と同様に食べられます。wx ae(WE米)は、消化されにくい難消化性デンプンを蓄積し、玄米の約7倍もの食物繊維を含みます。さらに、γ-オリザノールやGABA(玄米の約5倍)も豊富に含み、低GI食品で、脂質代謝への影響についても研究がなされています。
このwx ae(WE米)に関する研究が、国際学術誌「Journal of Food Science and Technology」および「Journal of Food Science」に掲載されました。

研究(1) 「wx ae(WE米)」の焙煎で生まれる特有の香りを解明
概要
竹満 初穂特任准教授らの研究グループは、wx ae(WE米)を焙煎した際に生じる香り成分「ピラジン類」に着目し、包括的な二次元ガスクロマトグラフィー※1と飛行時間型質量分析※2を用いて、その種類や生成特性を詳細に解析しました。
その結果、焙煎wx ae(WE米)から1000種類以上の揮発性成分が検出され、その中でも100種類以上がピラジン類であることが確認されました。さらに詳細に比較したところ、そのうち12種類は比較に用いた通常の米品種では検出されず、wx ae(WE米)特有の香り特性に関与する可能性が示されました。
さらに、wx ae(WE米)は糖やアミノ酸を多く含むことから、加熱時のメイラード反応※3が促進され、豊かな香ばしさの形成につながることが示唆されました。本研究成果をもとに、現在、wx ae(WE米)の新たな食品素材としての展開や商品開発が進められています。
本研究成果は、2026年4月15日に国際学術誌「Journal of Food Science and Technology」に掲載されました。

資金情報
本研究の一部は、沖縄県知的・産業クラスター形成推進事業、JSPS科研費(課題番号 JP24K16576)、および杉山産業化学研究所の助成を受けて実施されました。
用語解説
※1 二次元ガスクロマトグラフィー:試料中に含まれる多数の揮発性成分(におい成分など)を、2段階で分離する分析手法。複雑に混ざり合った成分でも個別に分離しやすくなり、より高精度な分析が可能。
※2 飛行時間型質量分析:物質を構成する分子をイオン化し、その飛行時間(検出器に到達するまでの時間)を測定することで分子の質量を求め、成分の種類を特定する分析手法。
※3 メイラード反応:糖とアミノ酸が加熱によって反応し、食品に香ばしい香りや褐色を生じる反応。パンの焼き色やコーヒー、焙煎食品の風味のもととなる。
掲載誌情報
【発表雑誌】 Journal of Food Science and Technology
【論文名】 Comprehensive analysis of roasting-induced pyrazines in wx ae brown rice revealed by GC × GC-TOF–MS
【著者】Hatsuho Takemitsu・Miyako Kotaniguchi・Fumie Kabashima・Shinichi Kitamura
【掲載URL】 https://doi.org/10.1007/s13197-026-06657-0
研究(2)加工方法で変わる食品のチカラ~焙煎と蒸しで異なる腸内作用を発見~
概要
北村 進一特任教授と石川県立大学食品科学科の松本 健司教授らの共同研究グループは、食物繊維の一種である難消化性デンプンを豊富に含むwx ae(WE米)に着目し、「焙煎」と「蒸し」の2種類の加工を行った後、マウスに8週間摂取させて腸管への影響を調べました。その結果、どちらの加工法でも腸管の健康維持に重要な免疫グロブリンA(IgA)と、腸を保護する粘液成分であるムチンが増加しました。しかし、その増加の仕方には違いがあり、IgAは焙煎したwx ae(WE米)でより強く増加し、ムチンは蒸したwx ae(WE米)でより強く増加しました。さらに腸内環境を詳しく調べたところ、焙煎したwx ae(WE米)では腸内細菌全体の量が増加しました。IgAは腸内細菌などの刺激によって産生されるため、この腸内細菌量の増加がIgAの増加に関係している可能性があります。一方、蒸したwx ae(WE米)ではムチン産生に関係するとされる腸内細菌が増加しており、これがムチンの増加に関与した可能性が考えられました。これらの違いは、焙煎と蒸しによってデンプンの構造や性質が変化したためであると考えられます。
本研究は、「同じ食品であっても加工方法によって健康機能が変化する」ことを示したものであり、食品の新たな利用法や機能性食品の開発につながる成果として期待されます。
本研究成果は、2026年5月12日に食品科学分野の国際学術誌「Journal of Food Science」に掲載されました。

掲載誌情報
【発表雑誌】 Journal of Food Science
【論文名】 Differential Effects of Roasting and Steaming of Resistant Starch-Rich WE Rice on Murine Intestinal Immune and Barrier Functions
【著者】 Sayaka Matsumoto, Ayaka Noguchi, Shinichi Kitamura, Kenji Matsumoto
【掲載URL】 https://doi.org/10.1111/1750-3841.71113
関連情報
9月10日(水)・11日(木)、本学・食品プロセス工学研究室(ACESYSTEM Laboratory of Food Process Initiative)とJA北大阪の共同研究成果『WE米』を使用し、大阪ヘルスケアパビリオン内のデモキッチンで体験イベントと試食を実施
https://www.omu.ac.jp/expo2025/info/reports/entry-91616.html
WE米について(JA北大阪Webサイト)
https://ja-kitaosaka.or.jp/we-mai
本件に関する問い合わせ先
大阪公立大学食品プロセス工学講座
特任准教授 竹満 初穂
TEL:072-254-9866
Mail:takemitsu[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
Webサイト:https://www.omu.ac.jp/orp/a_fpi/dir1/
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