スポーツグループ

スポーツグループ

「スポーツをしたい気持ちはプロからお年寄りまでみんな同じです」

我々のスポーツクリニックでは若いトップアスリートのみならず、ママさんバレーやウイークエンドプレイヤーまで幅広く対応いたします。

2021年に東京オリンピックが開催され、また、健康日本21が改訂されるなど、近年より幅広い年齢層がスポーツに親しみやすい環境になっていると思います。それと同時に一生懸命に頑張りすぎて、怪我や痛みが生じるケースも出てきています。つまり、若者のオーバーユース症候群と同じ状況が高齢者にも出現しているということです。当クリニックでは手術的加療が主体となっていますが、当然手術が必要のない方はたくさんおられます。そういう方には予防医学としてのストレッチ、コンディション作り、筋力トレーニングの指導が大切になりますので、しまだ病院、ダイナミクスポーツ医学研究所と連携し、徹底的な運動療法をして頂いております。

同時に専門的な徒手検査手技、MRI(磁気共鳴画像)、CT、ストレス撮影など、詳細な検査によって手術が必要となると考えられる方については関節鏡を中心とした低侵襲手術を行い、早期スポーツ復帰をめざします。

スポーツグループでは関連病院との連携を強めることによって、それぞれの特色を生かしています。年に数回、関連病院のドクター、理学療法士、トレーナーとの合同スポーツミーティングを行い、テーマに沿ってディスカッションを行っています。最近はwebでの開催となっており、遠方でも気軽に参加してもらうように工夫しています。

また、大学病院において若手医師、学生に対してモデル膝を用いて、関節鏡セミナーを開催しています。不定期ではありますが、学生に対してスポーツよろず相談室を開催し、学生に医師の診察と理学療法士の運動療法を体験してもらい、運動器に興味を持ってもらうと同時に、若手医師の教育も行っております。

今現在グループとしての活動は以下の3つを行っております。

A、臨床経験からフィードバックされた臨床的研究
B、近未来的治療を目指した基礎的研究
C、スポーツドクターとしてのフィールドワーク活動

以上のように、臨床、基礎研究、社会貢献の3本柱で日夜励んでいます。

対象疾患および手術療法

膝前十字、後十字靭帯損傷、内側側副靭帯、外側側副靭帯損傷、半月板損傷、円板状半月、離断性骨軟骨炎、膝蓋骨脱臼、軟骨損傷、オスグット病、ジャンパー膝、色素性絨毛性滑膜炎、滑膜性骨軟骨種、関節内遊離体

股関節 股関節唇損傷、Femoral acetabulum impingement、関節内遊離体、早期変形性股関節症
足関節外側靭帯損傷、離断性骨軟骨炎、フットボーラーズアンクル、外脛骨障害、関節内遊離体
野球肘、離断性骨軟骨炎

代表疾患

  • 前十字靭帯損傷

    前十字靭帯損傷はスポーツ膝障害のうちもっとも手術療法を要する重大な障害です。ジャンプの着地、切り返し動作、直接の外傷で損傷します。

    このような動作をする競技としてバスケット、バレーボール、サッカー、ラグビー、柔道などがあり、やはりこれらのスポーツで断裂することが多いです。ほとんどの人がプレー続行不能となり、翌日には膝が「パンパン」に腫れます。関節の中は血でいっぱいになっています。ただし約1ヶ月で通常の日常生活が可能となるため、わからないまま後日症状を来すことがあります。

    この靭帯は関節の中の靭帯なので、切れたら元通りにつながりにくいと言われています。このままスポーツを続けると、しばしば関節が亜脱臼し、軟骨や半月板が傷つき、2次的な障害(長期的には変形性膝関節症)をもたらすことがあります。スポーツレベルを下げて、しっかり筋肉トレーニングすれば、日常生活レベルは保存療法で症状が出現する頻度は少ないと言われています。

  • 前十字靭帯再建術

    手術適応はスポーツ復帰を望む方、日常生活で不安感がある方、半月板の症状が出現している方です。手術前には十分な可動域を獲得し、筋力回復して頂きます。安定した術後成績を得るために、健常部分から腱を採取し、それを新しい靭帯として使用する、靭帯再建術を行っています。当クリニックでは3種類の移植腱から選択し手術を受けて頂けます。

    具体的には①大腿部内側のハムストリングス腱 ②骨付き膝蓋腱 ③骨付き大腿四頭筋腱です。

    • ハムストリングス腱

      生体力学的観点、解剖学的観点から大腿骨、脛骨に2つずつ骨孔を作成し、そこに2本の移植腱を通す、2重束再建術が成績向上の可能性があることから日本を中心に盛んに行われており、当院でも約20年前から2重束再建術を行っております。術後の痛みが比較的少ないという特徴がありますが、若くてスポーツレベルの高い方に対しては後々の緩みや再断裂の懸念もあります。

    • 骨つき膝蓋腱

      移植腱の片方に骨がついており、ハムストリングス腱よりは強度が高く、採取部の痛みも比較的少ない特徴があります。近年欧米を中心にこの移植腱の注目が高まってきており、当施設ではいち早く日本に導入し、2018年からこの術式を行っております。膝安定性が得られ、疼痛も少なく良好な臨床成績が得られていることから優れた術式と考えられます。

    • 骨つき大腿四頭筋腱

      移植腱の片方に骨がついており、ハムストリングス腱よりは強度が高く、採取部の痛みも比較的少ない特徴があります。近年欧米を中心にこの移植腱の注目が高まってきており、当施設ではいち早く日本に導入し、2018年からこの術式を行っております。膝安定性が得られ、疼痛も少なく良好な臨床成績が得られていることから優れた術式と考えられます。

    これら3種類の移植腱の特徴を踏まえた上で、患者様にあった術式の選択をしていただけるようにしています。

    手術翌日から松葉杖を使用してリハビリ開始します。ニーブレス1週間装着後、装具に変更します。退院は術後2~3週間後です。術後4~6週間は松葉杖歩行です。

    ジョギングは4ヶ月後、ダッシュ6ヶ月、スポーツ完全復帰は9ヶ月以降となります。

  • 半月板損傷

    半月板は荷重の伝達やショックアブソーバーとしての役割、膝の安定性、関節運動の潤滑に寄与しています。半月板損傷としては①先天性(円板状半月)②靭帯損傷を伴ったもの③加齢的変化によるもの、に分けられます。若年者は上記①②に当てはまることが多いです。

    • 外側円板状半月

      外側半月の形態的異常です。完全に関節を覆っているものを完全型円板状半月、大部分を覆っているものを不完全型円板状半月と言います。伸展障害、疼痛を伴う円板状半月は手術適応になります。円板状半月については意外と幼少時から症状を訴える方がいますし、膝離断性骨軟骨炎を合併することもありますので、長期の経過観察が必要となります。また不安定な円板状半月に対しては可能な限り形成、縫合を行うことで正常に近い半月板を再現しています。当院では150例以上を保存的もしくは手術後長期に観察しており、きめ細やかな術後スポーツ復帰をサポートしています。半月切除後3年以上経ってから離断性骨軟骨炎を発症する方もいらっしゃるので、少なくとも高校生までのレントゲン、MRIによる疫学調査を行っています。

    • 靭帯損傷に伴う半月板損傷の場合も手術になることが多いです。現在は出来るだけ半月板温存する術式を選択しています。

    • 壮年期の半月板損傷は内側半月後節水平断裂が多いですが、痛みの原因が半月板だけとは限らないため、慎重な判断が必要です。十分なリハビリをしていただいたにも関わらず症状が残る方には手術を考慮します。内側半月後節水平断裂に対してはこれまで切除術が多くなされてきていましたが、現在では関節温存のために縫合をする試みもしています。治癒しにくいとされている変性断裂に対しては、骨髄より組織修復を促進する細胞や化学物質を含む血液を採取し、フィブリンクロットという塊を作り損傷部に挿入する工夫をしています。

      O脚を伴う内側半月板変性、軟骨損傷(軽度の変形性関節症)に対しては、半月板治療だけでは不十分な場合もありますので、脛骨高位骨切り術を併用しています。

  • 内側型変形性関節症に対する脛骨高位骨切り術

    変形性膝関節症の原因に膝のO脚がありました。変形が重度なものには人工関節置換術が適応となりますが、それほど軟骨が擦り減っていない、変形が軽度なものに対しては、漫然と痛み止めやリハビリが行われてきました。我々は血液中の軟骨代謝マーカーと運動強度をモニタリングし、患者様ごとに適したオーダーメイドの保存治療を行なっています。また、加齢とともに内側半月板の変性を来しますが、O脚が存在すると半月板損傷を惹起します。我々は、比較的変形の軽度な膝に対して、積極的なO脚の矯正、つまり脛骨高位骨切り術を行っております。従来から骨切り術は行われてきましたが、近年より簡便な手術方法と骨切り専用の固定材料が開発され、安定した成績が得られております。

スタッフ

  • 飯田 健Ken Iida
    専門分野スポーツ
    2013年 近畿大学医学部卒業
    2024年 大阪公立大学大学院 整形外科 病院講師
  • 橋本 祐介Yusuke Hashimoto
    専門分野スポーツ
    1997年 大阪市立大学医学部卒業
    2007年 大阪市立大学大学院 整形外科 助教
    2009年 大阪市立大学大学院 整形外科 講師
    2017年 GOTS/JOSSM/KOSSM traveling fellow
    2017年 Taos Orhtopaedic Institute (USA) International Fellow
    2023年 大阪公立大学大学院 整形外科 特任教授

その他の活動(取り組み)

スポーツドクターとして、臨床が充実していることは当然として、社会貢献の立場からフィールドワークが必要と考えております。大阪公立大学はセレッソ大阪とパートナーシップを結び、トップチームだけではなく、ユース世代、レディースチームを含めて選手のサポートを幅広く行っております。

また、その他にもFC大阪チームドクター、木下グループジャパンオープン、関西、全日本ジュニアテニス選手権、世界スーパージュニアテニス選手権トーナメントドクターでの活動を行っております。また、大阪公立大学医学部スポーツ研究サークルと情報を共有し、それぞれのフィールドワークに参加していただき、整形外科の魅力を伝えています。