リウマチ外科グループ
リウマチ外科グループ
大阪公立大学整形外科RAグループでは、関節リウマチ(RA)に対する専門的な診療を行っています。RAは滑膜炎を主体とし、治療が遅れると不可逆的な関節破壊と機能障害を来す疾患です。近年はメトトレキサートに加え、生物学的製剤やJAK阻害薬の登場により、寛解導入・維持が現実的となってきました。当グループではこれらの薬剤を積極的に導入し、個々の病状に応じた最適な治療を提供しています。関節破壊が進行した場合でも、手術治療を組み合わせることで、機能改善とQOL向上が期待できます。
さらに、関節エコーを用いた滑膜炎の可視化に力を入れており、外来で小関節から大関節までリアルタイムに炎症評価を実施しています。これにより診断精度の向上と治療効果の客観的評価が可能です。滑膜炎が残存する場合には、エコーガイド下関節内注射により、局所へ正確に薬剤を届ける治療も行っています。
また、RA以外にも脊椎関節炎や乾癬性関節炎、結晶誘発性関節炎などの鑑別診断にも対応しており、関節に症状のある患者様の診療を幅広く行っています。加えて、大学病院の特性を活かしてRAに関する基礎・臨床研究も活発に行っており、学会発表や論文執筆を通じて成果を国内外へ発信しています。
関節エコー評価の実際
血液検査で全く異常がなく、関節の腫脹もはっきりしなかったため、色々な病院をまわっても、なかなか診断がつかなかった患者様ですが、大阪公立大整形外科RAグループの外来に受診していただき、エコー検査をすると強い滑膜炎がはっきりしたため、すぐにRAと診断し、早急に積極的RA治療を行ったことで、速やかに寛解導入・維持が可能となりました。もちろん機能障害も来しておりません。
症例①
左手関節中央背側の画像:
左の画像は関節内にパワードプラシグナル(PD)が検出され、正常な関節内にはないはずの血管の存在、つまりRAによる増生した滑膜内の新生血管を意味しています。これは関節内滑膜炎をリアルタイムに視覚化しており、正確にRAの活動性を評価することが可能です。そして、積極的治療をすることで、右の画像にあるように、関節内にあるPDは消失しており、治療が良好にできていることが確認できます。このように、治療効果を正確に評価することが可能です。

症例②
左示指MCP関節背側の画像:
症例①と同様、左の画像では、関節内に強いPDが検出され、RAと診断されました。そして、速やかにRA治療を行っていくことで、右の画像のように、完全に滑膜炎が抑制できたことが確認できています。

関節エコーガイド下関節内ステロイド注射
十分量のメトトレキサートと生物学的製剤を積極的に使用しても、一部の関節で、完全に滑膜炎が消えなかった患者様です(左の画像:上が右示指MCP関節、下が右中指MCP関節背側)。その滑膜炎が残存した関節に、エコーガイド下で正確にステロイド注射をすることで、関節内滑膜炎を完全に抑制することができました(右の画像)。

対象疾患および手術療法
また大阪公立大整形外科RAグループでは、RAやその他の疾患に対しても、様々な手術(人工肩関節置換術、人工肘関節置換術、手指関節の関節形成術・腱再建術、人工股関節置換術、人工膝関節置換術、人工足関節置換術、前足部・後足部手術など)を行っており、患者様の機能改善に努めています。その中でも、足の外科手術も積極的に行っており、我々RAグループの特徴の一つとなっております。
RAでもRA以外でも足部の変形は起こり、変形や疼痛による歩行障害が問題となります。大阪公立大整形外科RAグループでは、様々な病態からおこる足部変形に対する手術を多彩に行っております。(詳細は足の外科グループのページをご参照ください)
スタッフ

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真本 建司Kenji Mamoto
2007年 徳島大学医学部卒業 2017年 Visiting Scholar, Department of Radiology and Biomedical Imaging, University of California, San Francisco 2017年 Research Scholar, Department of Biomedical Engineering, Program of Advanced Musculoskeletal Imaging Lerner Research Institute, Cleveland Clinic 2020年 大阪市立大学大学院 整形外科 病院講師 -
岡野 匡志Tadashi Okano
2004年 大阪市立大学医学部卒業 2013年 Clinica Reumatologica, Universita Politecnica delle Marche, Ancona, Italy 2015年 大阪市立大学大学院 整形外科 病院講師 2023年 高齢者運動器変性疾患制御寄附講座 特任教授 -
山田 祐太郎Yutaro Yamada
2010年 神戸大学医学部卒業 2023年 大阪公立大学大学院 整形外科 病院講師 2025年 高齢者運動器変性疾患制御寄附講座 特任講師