多様なキャリア


このたび当整形外科教室では、医師としてのキャリアだけでなく、子育て・スポーツ・前職経験など、多彩なバックグラウンドを持つ医師たちがどのように自身の道を築いてきたのかをテーマに、座談会を開催いたしました。
参加したメンバーは、バレエやバスケットボールといったスポーツ、子育てにまつわる日々の実践、さらには理学療法士としての臨床経験など、それぞれが異なる視点と強みを持っています。
今回の座談会では、アンケートへの回答をもとにしながら、
- なぜこの道を選んだのか
- 仕事と趣味・家庭をどう両立しているのか
- 多様な経験が整形外科医としての成長にどう影響しているのか
医師一人ひとりのキャリアには、決して単線的ではない個性豊かな歩みがあります。その"多彩さ"こそが、患者さんの理解を深め、診療の質を高め、チームとしての厚みをもたらしている…そんな想いが共有された座談会となりました。
以下では、当日の様子を写真とQ&A形式でご紹介します。多様なキャリアのあり方が、これから整形外科医を志す皆さまのヒントになれば幸いです。
医師11年目、肩グループの岡田彩夏です。3歳の男の子を持つ母です。
長吉総合病院で常勤医をしながら、自宅では家事、子育てを無理ない程度に頑張っています。今年から3、4年目の子たちが当院を関連施設としてまわってくれているので、わちゃわちゃと楽しく外傷の手術をしたり、肩の手術にはいって勉強してもらったりと仲良く楽しみながら仕事をしています。
また、日常では家にいるよりも外出が好きなので、だいたい土日は毎週いろんなところに子供とおでかけしています。
当院は古いですが、子育てママさんでも両立可能ないい病院だと思うので、またよかったらきてください。
医師11年目の増田淳です。今はしまだ病院で勤務しています。セレッソ大阪は1995年のJリーグ加盟と同時に応援しはじめました。最近はさらに応援の熱が高まっていてよく現地で観戦しています。
医師8年目の米田です。中高大とバスケットボールに所属しており、それもあって整形外科になりました。
医師8年目、肩グループに所属で現在貴島病院本院に在籍しております森逸です。私は、元々医師になる以前、理学療法士として2年間、現在の所属先であります貴島病院本院で勤務しておりました。短い実務経験ではありますが、私にとって、大学時代を含めて理学療法を学んだ6年間は、かけがえのない経験です。そこから再出発し、プライベートでは結婚し、3人の子宝に恵まれ、現在40歳です。15年ほどの月日を経て、縁あって私の医療の原点とも言えるこの場所に戻り、当時志した肩外科医としてようやく歩み始めることができ、本当のスタートラインに立っていると感じております。
医師7年目、整形外科5年目の中庭です。趣味として5歳から13歳までクラシックバレエを習っていました。今は大学3年生から始めた社交ダンスを継続しています。また10月からマシンピラティスに通い始めました。
医局説明会に行ったときに毎年入局者が多く、活気があると感じたからです。
また、大阪の南の方に病院が集中しており、引っ越しせずに通勤できるからです。
一番大きな理由は父が医局員だからです。ただ、セレッソ大阪のチームドクターの先生が大阪公立大学の先生であったこともそれと同じくらい大きな理由です。
大阪市立大学出身だからです。
出身が大阪府羽曳野市であることからか初期臨床研修病院探しの際には、育った空気感と土地勘を頼りに自然と大阪の南地域での研修先を選定していました。淀川より南でなんとなく…といった漠然としたものでした。医学部に入る時点で整形外科医になることを決めており必然的に市大整形外科医局の先生方と接する機会が多くありました。そこで出会う先生方の共通した「居心地よく過ごしておられる姿」を見て、市大整形外科入局を見据えて研修先を選びました。そのなんとなくの見立てに違いなく、そのまま入局を決めました。
母校かつ初期研修先であり、人間関係が構築しやすいと思ったので。また勤務地の範囲が比較的限られており、生活リズムが作りやすいと思いました。
月曜日から金曜日の8時半~17時過ぎ頃で、土曜日、日曜日がお休みです。
平日の週5日勤務ですが、土曜日の外来も月に一回担当の日があります。
週5月~金勤務 月1回土曜日勤務、土日当直は年間通して12回程度、平日は月2回程度です。
週4.5回の常勤先での勤務に加えて、週1回の非常勤先での勤務を行っております。
カレンダー通りで、週1回程度当直があります。
最近の趣味は、毎日の通勤時間30分にドラマをみることです。
2週間に1回程度です。
週1-2回の練習、月1-2回の試合があります。
現在でもセラピスト中心のWebセミナーなどに積極的に参加し、理学療法業界の最新の潮流をキャッチするよう努めております。
社交ダンス、ピラティスとも週1回1時間程度
もともと夜型だったのですが、育休あけて、仕事を再開してから、完全に朝型人間になりました。テレビをみることや夜更かしすることがなくなり、健康的な生活をしています。
現地でのサッカー観戦により、スポーツ外傷の現場に多く遭遇することができます。患者様とお話しているときに受傷の場面をイメージしやすいです。
仕事をなるべく早く終わらせたいため、どの順番が効率がいいか、どの方法が効率がいいかを考える能力がつく
理学療法士として知識・経験が整形外科医として活きる場面は多々あります。その一つにセラピストとの共通言語・共通認識として運動学・機能解剖学といった学問体系を通して議論ができるということが挙げられます。しばしば医師が苦手とする運動学・機能解剖学という運動器診療に重要な要素についての理解・興味があることで、セラピストの先生方との議論は円滑かつ深いものとなります。この分野は苦手というより、そもそも医学カリキュラムに含まれず、興味を持つ機会が少ないのかもしれません(もちろんこれらに精通した先生方も多数おられます)。近年の整形外科診療に欠かせない運動器エコーにも、これらの知識は必須でありやはり大きなメリットがあると感じています。
社交ダンスをやっていることで舞台医学のコミュニティに誘っていただき、ダンサーの足の勉強をしています。将来的にダンサーやバレエ団と提携してサポートができれば良いなと思っています。またピラティスにはリハビリから派生した側面もあるので、自分で体験することで患者さんに自宅でできる体操などを説明する際に説得力を持たせられるように思います。
平日は家事、仕事に追われて、子供と遊ぶ時間がほとんどもてないので、その分週末は外出して、思いっきり遊んであげるようにしています。
子供が隣にいるときは仕事のことは考えず、早朝に起きてやるように心がけています。
本当なら平日の練習なども見学に行きたいですがそこは我慢して仕事しています。
仕事はきっちりして、スポーツしていることに対して文句を言われないようにしている。
医師を志したきっかけは、「医師とセラピストのそれぞれについて、もう少しお互いのことがわかる架け橋となるような存在がいれば、もっと治療もうまくいくのになあ」という思いでした。この架け橋としての存在になることが、私の価値と考えます。理学療法士・医師としての双方の知識・視点を持っているからこそ実現可能な架け橋としての存在になれるよう幅広く活動を進めて参りたいと思います。
私にとって社交ダンスは自己表現であり日々の張り合いのひとつになっていますが、あくまで生活の中心は仕事なので、趣味にのめりこみ過ぎて仕事に支障が出ないように気をつけています。また、趣味と仕事を近づけられないか模索中です。ダンスもピラティスも高齢まで続けられる趣味なので、いずれ休む時期が来るかもしれませんが長く楽しもうというスタンスでやっています。
医局に対しては、特にありません。
現病院在職中に病院の保育所がなくなった(病院の資金不足のため)のはかなりつらいです。
選手と触れ合える機会を作ってほしいです。
なにの改善かが難しいですが、いうなれば土日の当直が少ない方がいいです。
これまでも肩グループとしては、関連病院のセラピストの先生とともにリハビリテーション勉強会を2か月ごとに行っております。また、2024年からは石切生喜病院中心に東大阪肩関節セミナーを定期開催していただき、セラピストと医師がより濃密なタッグを組んだ診療実現を目指して取り組みを進めております。肩の分野は、肩学会と肩の運動機能研究会が同時に行われるなど伝統的にこれらとの親和性が高い分野ですが、是非とも他の分野・グループにおきましても、こういった取り組みを積極的に企画・開催していただきたく存じます。より医局の発展につながるものと考えます。前述のようにそのような際の架け橋となることができれば幸甚です。
特にありません。
日本では、子育てに対する社会的サポートが十分とはいえず、女性医師が理想的な働き方を実現するには依然として多くの課題があります。そのため、思うように仕事に打ち込めなかったり、子育てとの両立に悩んだりする場面も少なくありません。その点、大阪公立大学整形外科には、さまざまなキャリアやライフスタイルを持つ女性医師が在籍しており、多様なロールモデルが存在します。子育てや働き方について相談しやすい環境が整っているのも大きな魅力だと思います。
ぜひ一緒に、大阪公立大学整形外科女性医師チームを盛り上げていきましょう!
もしピンポイントにセレッソ大阪を応援しているならば、趣味を仕事にすることができるかもしれません。ぜひ一緒に働いて一緒に応援しましょう。
趣味は大事ですが、仕事をおろそかにするのは違うので、両方とも全力を尽くしてください。
私の経歴はやや異質で参考にならない部分も多いと思います。ただし、私が研修病院探しの際に感じた公大整形医局がもつ「居心地のよさ」というものは、入局後も変わらず感じております。様々なキャリア・キャラクターをもつ優秀な先生方が生き生きとなすべきこと・やりたいことを実行している当医局で、自らの力を存分に発揮していただければと思います!
私は好きなことを細々と続けてきただけですが、趣味自体とその周辺のコミュニティがあることで精神的に支えられてきたように思います。趣味に使える時間はその時々で変わっていくと思いますが、時期ごとに目標を定めて今後も続けていこうと思っています。また、大阪にはダンサーなど審美系アスリートを診る若手医師がスポーツ系と比べると少なく、一緒に勉強してくれる仲間を個人的に大変求めています。興味がある先生がいらっしゃればぜひお声がけください!
