慢性看護学

基本情報

慢性看護学

代表者 教授
籏持 知恵子
連絡先 MAIL:chiekos[at]omu.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。 
概要 糖尿病や心疾患、COPDなどの生活習慣病や難病などの慢性病は高齢化とともに増加し、その医療費の増加は社会的にも大きな問題となっています。慢性病の多くが急性増悪と回復を繰り返しながらゆっくりと進行し、様々な機能障害をもたらします。慢性看護学は予防期、急性期、回復期、慢性期、終末期など慢性病の様々な病期にある人とその家族についての看護を追求する学問分野となります。慢性病は身体的な機能障害のみでなく、不確かさやスティグマ、就労など社会活動の制約など心理・社会的な影響を患者やその家族にもたらします。また、慢性病者は運動療法、食事療法、薬物療法など治療・療養行動の実施、症状マネジメント、感情のコントロール、自分なりの社会生活を送るなどのセルフマネジメントを行うことが必要となります。慢性看護はそのような対象とその家族の理解を基盤として、病院(病棟や外来)、地域、居宅、職場など様々な場での療養支援、サポートネットワークづくり、社会資源活用などへの支援を行っていく看護活動となります。慢性看護学分野は、様々な慢性病をもつ対象やその家族の生活の質を高めるための看護に関わる知を追求している分野といえます。
ホームページ https://www.omu.ac.jp/nurs/manseikangoken/

 

教育について

慢性看護学分野においては、慢性病の特徴やそれが患者と家族にもたらす影響、対象を理解する方法や患者が症状を緩和し、良好な状態を維持するために、継続的な治療や療養行動をとりながら生活の質を維持できるようにするための看護実践についての知識や技術を修得できることを目的に教育を行っています。
学部教育においては慢性病の患者や家族などの対象を理解し、看護援助を行う上で必要な概念や理論と看護の役割、技術に関して、講義や当事者の語りを実際に聴いたり、シミュレーションを活用した演習や実習を通して学びます。臨地実習は大阪府下の基幹病院、総合病院などで行い、充実した実習指導体制のもとで、看護実践の実際を学びます。
博士前期課程においては慢性病者の療養行動の特性や支援についての様々な理論や概念、支援に必要な社会制度や社会資源、チームアプローチ、療養に関わるセルフマネジメントに必要な患者教育などについて理論的に学び、慢性看護に適応できる革新的方策を検討します。また教員とともにセルフヘルプグループの企画、運営を行い、患者教育や相談を実践的に学び、地域での活動も行います。さらに慢性病者や家族に関わる現象を分析し、支援を探求する基礎的な能力を養うために課題研究や修士論文に取り組みます。慢性看護学分野では慢性看護の実践の質の向上目指し、変革できる能力を養成する慢性疾患看護専門看護師の教育課程も備えており、その教育に関しては、専門看護師の資格を有する教員から実践的に指導を受けることができます。
博士後期課程においては、慢性看護分野の知の発展をめざし、慢性病患者の現状を明らかにする文献レビューを基盤にその看護のエビデンスの確立に貢献できる介入研究や現状・効果把握のための尺度開発などに関する研究に取り組みます。

研究について

主な研究内容

概要

研究テーマ名:慢性心不全患者の症状管理における援助要請に視座した支援プログラム開発

高齢者が多くを占める慢性心不全患者は再入院率が高く、その要因は療養管理にあると言われています。そのためには単に知識提供にではない、治療の継続や安定的な在宅生活を見据えた療養管理への支援が求められています。特に高齢者は加齢や病状による心身の機能低下から、患者のみで症状管理など療養管理に取り組むことに限界があり、支援の存在だけでなく、支援を求める患者側の援助要請の視点が重要となります。高齢慢性心不全患者療養管理に関わる援助要請の実態を調査し、それに基づく、援助要請支援プログラムを開発する研究を行っています。

概要

研究テーマ名:摂食・嚥下機能低下予防に向けた教育プログラム構築に関わる研究

肺炎と誤嚥性肺炎は我が国の主要な死因の一つであり、70歳以上では嚥下機能障害に起因する割合が高くなっています。高齢者では加齢に伴う嚥下機能低下があり、自分の嚥下機能を把握し、食生活や筋力維持などの日常生活上の対処行動が必要になる。そのための看護師による教育プログラム構築に向け、慢性疾患看護専門看護師や他大学研究者と共同して嚥下機能低下予防や誤嚥予防に対する適切な対処行動の評価ツール作成行っています。

主な研究業績

  1. 慢性病者者のエンド・オブ・ライフケアにおける意思決定支援に関わるケアモデル構築に向けた研究を米国の視察などもふまえ行っています。
  2. 糖尿病の自己開示における意思決定支援に関する研究を行い、Webページを作成して、対処支援ツールを提供しています。
  3. 慢性の呼吸器疾患、循環器疾患、腎臓病、糖尿病などの生活習慣病で療養中や健康の維持増進に関心のある地域住民の健康相談・健康教育の場としてのセルフヘルプグループ「ホッと&ハートの会」を企画・運営し、地域の様々な時期にある慢性病者への支援を行っています。

 

スタッフ