看護教育学
基本情報
看護教育学
代表者 | 教授 細田 泰子 |
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連絡先 | TEL:06-6645-9047 MAIL:hosoday[at]omu.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。 |
概要 | 看護教育学分野では、看護基礎教育、継続教育という側面から看護専門職の発達や育成にかかわる要素を探索するとともに、看護教育学に関する諸理論および関連学問分野の知見を活用して、看護ケアの質を高めるための教育的役割と機能、教育方法、教育評価などについて探究します。その際、実践・理論・研究・教育をつなげて考えることを重視します。修了後は、看護基礎教育および継続教育において看護専門職の育成や発達に携わり、看護学教育の発展に貢献することを期待します。
博士前期課程には、修士論文コースと実践看護研究コース/看護教育者があります。修士論文コースでは、看護教育学に関する知識および理論を活用して、看護ケアの質の向上に資する教育に関する実証的な研究を行い、研究能力を培うことをねらいとしています。実践看護研究コース/看護教育者では、看護教育学において必要となる専門的な理論と実践能力を基盤に、高度な教育・研究能力を保持し、グローバルな視座を有する看護教育者を育成します。なお、実践看護研究コース/看護教育者においては、看護師等養成所の専任教員となるために必要な教育に関する科目を履修することができます。 博士後期課程では、看護教育学に関する諸理論、知識の体系化と方法論について探究し、自立して研究活動を行うことができる能力を養います。国内外の広範な文献検討をふまえ、それぞれの研究課題に取り組みます。 看護教育学分野では、看護実践のコミュニティにおける人々の学習活動とその支援、継続教育における学習理論の活用、学習活動におけるエンゲージメント、多重課題におけるセルフモニタリングに関する研究に取り組んでいます。 |
ホームページ | https://www.omu.ac.jp/nurs/nursingeducation/ |
教育について
博士前期課程では、看護教育学に関する概念・理論・方法について、文献クリティーク、プレゼンテーション、ディスカッションを通して探究します。また、近年の学習理論をふまえ、看護ケアの質を高めるための教育の役割・機能・評価について理解を深めます。インストラクショナルデザイン演習では、授業設計を学び、教員や先輩を教育対象者に見立てて模擬授業を行います。教育対象者や授業内容の設定は個々で選択します。実際にやってみてはじめて気づくことや学べることも多く、教員や先輩からのフィードバックを受けリフレクションを行い、今後の教育活動に活かしていきます。
修士論文コースでは、看護教育学に関する諸理論を用いてこれまでの看護実践や看護教育実践を振り返り、教育を思考していきます。また、関心のある研究テーマについて国内外の文献や関連学問の理論について文献検討を行い、科学的根拠をもった独創的な研究に取り組めるように支援します。実践看護研究コース/看護教育者は、看護教育学に関する理論を基盤とした教育実践に取り組めるよう支援します。看護教育学実習は、学部の臨地実習や技術演習の場で展開しており、実習目標を達成するために、対象の理解、看護教育学の理論に基づく教育実践、実際の教育実践場面の振り返り、模擬評価を行います。看護師養成所専任教員資格取得科目を配置しており、修了後は、看護師学校養成所の専任教員、新人看護職員臨床研修における実地指導者および教育担当者等として看護学教育の発展に貢献することが期待されます。
博士後期課程では、国内外の学際的な文献クリティーク、プレゼンテーション、ディスカッションを通して、看護教育学に関する理論と方法論を探究します。博士論文は、質的・量的研究の方法について理解を深め、学生の研究課題を発展させ、学術的重要性と妥当性をもった独創性や新規性が認められる研究に取り組めるように支援します。博士後期課程のメンバーを中心にNursing Education研究会を開催し、研究の進捗状況の報告や発表会などの予演会を兼ねて意見交換などを行っています。院生同士に縦のつながりが生まれ、教員や先輩・後輩の院生や修了生から研究のアドバイスをいただき研究の進め方を学ぶ貴重な機会となっています。
研究について
主な研究内容
概要
研究テーマ名:臨床判断と学習環境デザインに関する研究
現代社会の変化を背景に看護の対象や療養の場が多様化するなかで、看護師には適切な推論に基づく臨床判断が求められています。そのため、看護学生から看護師へのトランジションにおける臨床判断能力の育成が重要になります。看護ケアにおける重要なコンセプトを深遠に学ぶことができる「コンセプトを基盤にした学習活動(Concept-Based Learning Activities)」を用いて臨床判断能力を培うプロジェクト学習に向けた研究を行っています。また、看護学習者が臨床判断能力を培うには、その学びを支援する教育指導者の役割は重要となります。これまでの研究では、国際的かつ地域的な視座から臨床教育のあり方を検討し、教育指導者を支援する教育プログラムの開発に取り組みました。現在は、看護学習者の臨床判断能力を拓く学習環境デザインの検討に取り組んでいます。
概要
研究テーマ名:学習活動におけるエンゲージメントに関する研究
学習は、学習成果に基づく評価に依存するのではなく、教育・学習のプロセスを重視することが求められています。そのため、看護師を対象とした継続教育においても、効果的に学習成果を得るには学習への意欲的な取り組みが重要な要素であると考えます。学習活動への意欲的な取り組みを示すと言われているエンゲージメントに着目し、主体感覚をもって看護実践や自己研鑽に取り組めるような学習環境や支援の検討に関する研究を行っています。これまでの研究において、新人看護師の学習活動におけるエンゲージメントの実際を明らかにし、測定尺度の開発を行いました。現在は、教育支援モデルの構築に取り組んでいます。
概要
研究テーマ名:多重課題におけるセルフモニタリングに関する研究
臨床現場では日常的に多重課題に遭遇しています。多重課題は似たような状況であっても、対象の状態や病棟スタッフのメンバー構成、勤務している時間帯などにより対応方法が異なるため、柔軟な対応が求められます。そこで、自分の力量を客観的に捉えるセルフモニタリングの観点から、多重課題の実践力の向上を目指した研究を行っています。これまでに、1~2年目の新人レベルにある看護師の多重課題におけるセルフモニタリングを測定する尺度を開発し、セルフモニタリングが及ぼす影響について明らかにしました。現在は、多重課題に対応するための思考を育てる教育支援や臨床判断コンピテンシーの育成に関する研究に取り組んでいます。
主な研究業績
- 細田泰子, 勝山愛, 金山悠, 北島洋子, 根岸まゆみ, 片山由加里, 土肥美子(2023). 教育指導者による看護学習者の臨床判断能力の評価と支援の必要性―測定用具の信頼性・妥当性の検討―. 日本医学看護学教育学会誌, 31(3),21-30.
- Ai Katsuyama, Yasuko Hosoda (2025), Engagement in learning activities for newly graduated nurses: Development and psychometric testing of a scale, Journal of International Nursing Research, 4(1), e2024-0006.
- 水引智央,細田泰子,紙野雪香(2021). 新人期看護師の多重課題遂行におけるセルフモニタリングの変容. 日本看護学教育学会誌, 31(1), 69-82.
スタッフ