最新の研究成果

―温室効果ガス削減を目指して― 大阪都市部のメタン排出を移動観測で詳細に調査

2025年10月15日

  • 農学研究科
  • プレスリリース

概要

地球温暖化を防ぐために、温室効果ガスの一つであるメタンの排出量の削減は喫緊の課題です。都市部では、メタンを主成分とする都市ガスの漏洩や下水処理に伴うメタンの発生などが排出源と考えられていますが、どの場所からどのくらい発生しているかは、これまで日本では詳しく調べられていませんでした。

大阪公立大学大学院農学研究科の植山 雅仁准教授、国立環境研究所の梅澤 拓主任研究員、寺尾 有希夫主任研究員、米国Environmental Defense Fund(EDF)、英国Royal Holloway University of Londonの共同研究グループは、2023年9月~12月と2024年11月に、ガス測定器を積んだ自転車と自動車で大阪市と堺市の都市部を走行しながらメタン濃度を測定しました。そして、堺市に設置した定点観測装置で長期間測定したメタン排出量データも合わせ用いることで、地図上にメタン排出地点を描くことに成功しました。今回、メタン(CH4)とエタン(C2H6)を同時に測定することにより、都市ガスなどの化石燃料起源のメタンと、下水処理など微生物が関わる生物起源のメタンを分類して評価することができました。本研究結果により、行政が集計しているメタン排出量データには、これまで見逃されていたメタンの排出源が存在しているか過小評価されている可能性が示されました。今後、メタン削減に向けた具体的な対策が進むことが期待されます。

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移動観測用車両と観測装置

本研究成果は、2025年10月9日に国際学術誌「Atmospheric Chemistry & Physics」にオンライン掲載されました。

町中を自転車で走破することは予想以上に大変でしたが、観測を支えてくださった方々のお陰でメタン濃度分布地図が完成しました。見知ったはずの町に意外な景観が広がり、予想外の場所からメタンが排出されていることに気づくなど、新たな発見の連続でした。詳細な排出地点情報を活かし、大阪からメタン削減が進むことを願っています。

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植山 雅仁准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Atmospheric Chemistry & Physics
【論 文 名】Evaluating urban methane emissions and their attributes in a megacity, Osaka, Japan, via mobile and eddy covariance measurements
【著  者】Masahito Ueyama, Taku Umezawa, Yukio Terao, Mark Lunt, James Lawrence France

【掲載URL】https://doi.org/10.5194/acp-25-12513-2025

資金情報等

本研究の一部は、Environmental Defense Fund、JSPS科研費(24K03065)からの支援を受けて実施しました。

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院農学研究科
准教授 植山 雅仁(うえやま まさひと)
TEL:072-254-9432
E-mail:mueyamaa[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

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