過去の学術行事

[26] ドナルド・トランプとポピュリズム~2024年アメリカ大統領選への展望~

開催日 2023年11月15日
講演者 西山隆行氏(成蹊大学法学部政治学科教授)
内容 来年行われるアメリカ大統領選挙に向けて、アメリカ政治を研究されている西山隆行教授をお呼びし、ドナルド・トランプを中心に据えてお話しいただいた。
トランプといえば、2016年の大統領選挙の際に過激な発言を繰り返していたことが印象深いが、彼の暴言は移民、銃規制、人工妊娠中絶といった社会的争点に集中していた。それによって単一争点活動家の支持を確保する一方、自由貿易、税金、医療保険制度といった経済的争点については穏健な立場をとることによって穏健な共和党支持者の支持を確保していたのが彼のやり方であったという。
また、トランプ政権中には、人工妊娠中絶に関する判例の変更が行われ、物議を醸した。これに関して、トランプ時代の実際の対応をふまえながら、最高裁判事任命手続への大統領の関わりとその問題点について、詳説いただいた。
2024年大統領選挙の展望については、中絶問題の動員力、トランプの起訴、対外政策との関係、第三政党の影響という四つの観点からお話され、今後の動向への関心をさらに高めるものであった。
質疑応答では、トランプ以外に支持が集まらないのはなぜか、中国やイスラエルの情勢が次の大統領選挙にどのように影響するかなど、多数の興味深い質問が出た。法学部学生を中心に多くの方々にご参加いただき、アンケートでも、「前提からわかりやすく解説いただけ、内容も端的にまとまっており理解しやすかった」という声が多く、大変満足度の高い講演会となった。 

[25] 21世紀におけるタイ政治-政治的分極化と民主主義後退への道

開催日 2023年5月31日
講演者 ウィエンラット・ネーティポー(タイ国立チュラーロンコーン大学政治学部准教授)
内容 日本学術振興会(JSPS)外国人招へい研究者(長期)プログラムで4月1日に来日された本学法学研究科客員教授のウィエンラット先生をお迎えし、日本とも縁の深い東南アジアの一国・タイの政治についてお話しいただいた。タイでは本講演約2週間前の5月14日に総選挙が行われたばかりで、そこで示された民意も交えてお話しいただいた。
講演ではまず、行われたばかりの総選挙の結果を確認した。親民主主義勢力の政党が第1党と第2党を占めた一方、2014年クーデタを主導した元軍人たちが設置した政党が4位・5位に沈んだことを、各県・地域での獲得議席数(総数500議席)も踏まえて分かりやすく説明された。
続いて、こうした複雑な事態に至った原因を、主要な政治アクター毎に説明がなされた。王室、政党、そして軍である。とりわけ、2001年に政権を握ったタイ愛国党のタックシン政権が王室を支持する保守的エリートによって危険視され、そのことが2006年の軍事クーデタに繋がったという。しかし、2007年や2011年に行われた総選挙でも、タックシン支持派が勝利を収め、タックシン支持派(赤シャツ派)と反タックシン派(黄色シャツ派)の分極化が激しく、そのことが2014年の軍事クーデタを招来したという。
軍事政権のもとで2016年に憲法が制定され、2019年の総選挙では再びタックシン支持派が第1党になったにもかかわらず、親軍派政党が連立工作の結果引き続き政権を握った。しかし、2016年にはタイ国民の支持を集めていたラーマ9世王が崩御し、国民に人気のないラーマ10世が即位すると、コロナ禍のもとにあったにもかかわらず軍の圧政に抗議する若者グループが抗議運動を起こし、タブーともいえる王制改革にも言及するようになった。こうした経緯の末、2023年5月14日に実施された総選挙では、Social Mediaを駆使して若者票はじめ都市部の中間層やエリートの支持も集めた前進党が大方の期待を超えて第1党に躍り出たという。現在、連立政権樹立に向けてさまざまなやり取りが行われている。
このように本講演では、過去20年の複雑なタイ政治の経緯をたどるもので、必ずしも理解が容易なものではなかったかもしれないが、多彩な写真を使った講演で興味深い内容であった。聴衆からは、国民が王室を支持した理由、宗教的正当化機能、タイの政党はポピュリスト政党かといった鋭い質問が出された。聴衆は20数名だったが、法学部や文学部の学生、ロースクール生、そして外国人学生も参加するバラエティに富んだ講演会となった。また、講演終了後は、ウィエンラット先生を囲んで10名程度で茶話会も行った。

[24] 独占禁止法と刑事訴訟法

開催日 2019年5月31日
講演者 山中康平(公正取引委員会)
内容 本学法学部出身で、公正取引員会で活躍中の山中康平氏をお迎えしました。山中氏には、刑事訴訟法と独占禁止法、学問と法執行実務をそれぞれ架橋するお話をいただきました。
まず、独占禁止法の目的に触れ、公正取引委員会の仕組み及び業務について説明されました。事後アンケートによると、参加者の多くは初めて知る内容で「知らなかった」「スケールが大きい」等、驚きや新鮮であったようです。 次に、課徴金制度及び課徴金減免制度、現在国会で審議中の調査協力減算制度について、図表を用いてやさしく説明いただきました。そのうえで、課徴金減免制度と刑事訴訟法上の協議・合意制度との比較を示し、その違いについて言及されました。
最後に、受講生からの質問に応じ、本学部の先輩としてご自身の経験を踏まえ、公正取引委員会における業務のやりがいや魅力、また、学生時代に学んだことや経験が現在にどのように結び付いているかについてお話しいただきました。参加者からは、「法曹以外の進路選択の視野が広がった」「法学部で学ぶモチベーションが高まった」等、多くの感想が寄せられました。

[23] 無罪に辿りつくために乗り越えるべき壁

開催日 2019年4月16日
講演者 川上博之氏(弁護士、大阪弁護士会) 宇野裕明氏(弁護士、大阪弁護士会)
内容 本学法学部・法学研究科法曹養成専攻出身で、刑事裁判の第一線で活躍されている川上博之弁護士と宇野裕明弁護士をお迎えし、無実を訴える被疑者・被告人がいても、弁護人がいくつもの壁を乗り越えなければそこに辿りつくことができない刑事裁判の実情とこれに対する両弁護士の取組みを中心に、弁護実務のご経験をご講演頂いた。なお、本講演会は、理論と実務の架橋を目的とする本学法曹養成専攻のブリッジ企画として実施した。
まず、「依頼者との壁・証拠の壁」として、証拠収集において捜査機関に比して圧倒的に不利であることを踏まえ、特に、被疑者が身体を拘束されている場合、被疑者から事件に関する情報を聞き取ること、これをもとに弁護人の立場から事件経緯や当時の状況を整理・確認することの難しさが語られた。これに対し、実際に担当された事件で試みられた弁護活動上の工夫も紹介された。 また、社会的に注目を集めた「タトゥー彫り師医師法違反事件」を担当した弁護人として、2018 年11 月14 日に控訴審逆転無罪判決(上告中)を得るまでの弁護活動についてもお話し頂いた。医師法17 条「医業」とはなにかという法解釈をめぐる争いを紹介し、「どこかで聞いた話をそのまま信じるのではなく、データや事実を徹底的に調べることの重要性」を強調された。
最後に、法曹を志す多数の受講生に向け、ご自身の在学中の経験をもとに、学習上のアドバイスをいただいた。事後アンケートでは、モチベーションが上がった等の意見が多く寄せられ、大変好評な講演会であった。

[22] 日本型司法取引(協議・合意制度)によって変わること変わらないこと

開催日 2018年11月13日
講演者 高山巌氏(弁護士、日本弁護士連合会刑事弁護センター事務局次長、大阪弁護士会刑事弁護委員会副委員長)
内容 これまで300件以上の刑事弁護を担当し、日本弁護士連合会や大阪弁護士会において刑事弁護センター・委員会の中核として活躍されている高山巌弁護士をお迎えし、2016年刑事訴訟法改正で導入され2018年6月に施行された日本型司法取引=協議・合意制度(刑事訴訟法350条の2以下)についてご講演いただいた。
まず、同制度創設の背景につき、2010年の大阪地検捜査部証拠改ざん事件などの発生があり、取調べの可視化(取調べ全過程の録音・録画)の気運が高まったこと、それにたいして捜査機関側は、取調べの可視化を導入するのなら、真相解明のためのあらたな「武器」が必要だと主張し、通信傍受対象の拡大とともに本制度の導入を求め、本制度創設に至ったことなどが説明された。つぎに、本制度の概略が示され、本制度は被告人がみずからの罪を認めることによって刑罰等の恩典が得られるという自己負罪型ではなく、他人の事件の情報を提供することによって恩典が得られる捜査公判協力型であることが指摘された。そのうえで、制度の運用に関して、捜査がどのように変わるのか、弁護士が本制度にどのように関わっていくかについて説明がなされた。このうち、弁護士の関わり方については、たとえば、捜査に協力する被疑者側の弁護士が被疑者の当該供述が虚偽ではないかと思ったばあいに、弁護士倫理にてらして本制度に必要な同意をしてよいのかどうか、また、標的となった被疑者側の弁護士は、可視化されていない合意過程の適正さをどのように争えばよいのかといった点について問題提起がされた。そして、ご講演に引きつづいておこなわれた質疑応答では、学部生から、捜査に協力する被疑者側の弁護士が被疑者の供述の信用に疑いを抱いたばあいに同意するのは弁護士法1条の趣旨に反するのではないかとか、「司法取引」という語について、自己負罪型を思い浮かべることが多いにせよ、本制度についてこの語をあえて使わないようにしている一部の動きについて意図的で問題があるのではないか、などの発言があった。
本制度は込み入っていてわかりづらいものであるが、ご講演は論旨明快で非常にわかりやすくまとめていただいており、質疑応答も活発で中味の非常に濃いものであった。

[21] 朝鮮半島をめぐる国際政治 ―米朝関係を中心に―

開催日 2018年5月23日
講演者 李秉河氏(ソウル市立大学政経学部准教授)
内容  2018年6月12日にシンガポールで予定されている史上初の米朝首脳会談に向けて、本学法学部に客員准教授として滞在されている李先生にその背景をご講演いただいた。北朝鮮がいったいどのような国であり、金日成、金正日、金正恩という3人の指導者がどのような人物であったのか、なぜ北朝鮮がアメリカに対して不信感をもっているのか、北朝鮮がアメリカに対して何を望んでいるのか、そして6月12日に予定されている会談以降の米朝関係や北東アジア情勢の行方について、パワーポイントを使ってわかりやすくご講演いただいた。朝鮮戦争でアメリカ軍(国連軍)が北朝鮮に大規模な空爆を行ったことがアメリカに対する不信の源であること、核開発がアメリカに対抗する上で合理的な選択であること、金正恩が現体制の保証をアメリカに求めていること、北朝鮮が中国の改革開放政策に転換したような方針を模索していることなど、興味深い指摘が多数あった。質疑応答では、北朝鮮では国民による反乱は起きないのか、北朝鮮による政策転換は一気に進むのか、などの質問があった。講演は英語で行われ、司会が10分ほど日本語で要約を行ったが、きわめてタイムリーなテーマであったこともあり、たいへん好評であった。

[20] 現代韓国の内政と外交―自治体外交と朝鮮半島をめぐる国際関係―

開催日 2017年7月3日
講演者 李鎭遠氏(ソウル市立大学政経学部教授)・権寧周氏(ソウル市立大学政経学部教授)
内容  大阪市立大学と姉妹校提携を結んでいるソウル市立大学から学術交流のために来日されたお2人の先生をお迎えし、同名の講演会を学部専門授業である「国際政治」の時間枠を借りて開催しました。2教授はいずれも日本の大学で博士号を取得され、流暢な日本語でパワーポイントを使いながら講演されました。李教授による「韓国の対外関係」では、第二次大戦後に成立した韓国の内政・外交政策が、地理的歴史的要因から、近隣諸国や米ソ二大国といかに距離をとるかということと、各大統領による政権維持の観点とに大きく規定されてきたということについて、歴代大統領の政治を概観しつつ、指摘されました。一方、権先生による「日本と韓国の地方自治体の交流」では、韓国における自治体制度を、特に日本との相違にポイントを絞り確認したうえで、国際交流の担い手の重点が自治体に移り、また、その内容も行政交流からニーズに合わせて多様化していく過程がデータに基づいて明晰に提示されました。交流を活性化する要因、逆に阻害する要因についても考察を加えられ、今後の実りある交流のために何をすべきかについて考察されました。聴講生からは、現代韓国の状況に関する鋭い質問も投げかけられ、短時間ながら内容の濃い講演会となりました。

[19] 違法行政にどうやって立ち向かうか

開催日 2017年4月11日
講演者 濱和哲氏(本学法科大学院非常勤講師、大阪弁護士会) 山下侑士氏(本学法科大学院非常勤講師、大阪弁護士会)
内容  行政訴訟の経験が豊富な濱和哲弁護士と山下侑士弁護士から、タクシー規制をめぐる紛争を素材として、行政訴訟をやさしく解説して頂きながら、行政訴訟のだいご味や弁護士としてのやりがいなどについてお話しいただきました。

[18] 震災と法-安全な地域づくり

開催日 2017年3月7日
講演者 由喜門 眞治 先生(関西大学 法務研究科教授)
内容  日本における大規模災害に該当する震災の具体例、発生した災害の特徴、震災当時の法制度とその問題点、震災後に展開された施策等につき、防災・救済・復旧・復興という各側面から、東日本大震災後の現状に照らして考察していただきました。

[17] 変化の中で変化をとらえるには?──『「安倍一強」の謎』について

開催日 2016年11月15日
講演者 牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)
内容  学生有志が中心となって,近年の政治の動きを探るという観点から企画し,政治とメディアの関係からも発信されている牧原出先生をお招きし,ご講演いただきました。2010年代の政治を見渡すためには,何より,変化の中で変化をとらえていく姿勢が重要と説かれたうえで,1990年代から続いた大規模な制度改革が一段落した状況で,第2次安倍政権下で変化している事柄と変化の乏しい事柄について具体例をあげつつその背景事情を読み解いてくださいました。また,メディアでは報じられにくいが,政権交代の可能性は決して0ではないという前提で政治を中長期的に展望していく必要があることを,イギリスにおける選挙広報の動画も交えて強調されました。講演後も,かなり突っ込んだ質疑応答が行われ,日頃の授業とは異なる刺激を受けることができました。

[16] 無実の人が無罪判決を受けるまでの道のりに,弁護士は何ができるか-無罪判決の裁判員裁判を素材に

開催日 2016年4月19日
講演者 髙見秀一氏(本学法科大学院特任教授,大阪弁護士会),亀石倫子氏(大阪弁護士会,本学法科大学院第2期生),川上博之氏(大阪弁護士会,本学法科大学院第3期生)
内容  本講演は,理論と実務の架け橋をはかることを目的とする法曹養成専攻のブリッジ企画を法学会が後援する形で開催された。髙見弁護士,亀石弁護士,川上弁護士が担当された事件につき,依頼を受けてから裁判員裁判において無罪判決を得るまでの道のりをお話しいただいた。本件は,被告人が実子である生後2ヶ月の乳児の頭部に衝撃を与える何らかの暴行を加えて死亡させたとされた傷害致死事件について,医学的な観点や死亡前日からの経過からすると,被告人にのみ犯行可能性のある公訴事実記載の日時以前の時点で既に死因となる損傷に至る受傷をしていた可能性が否定できないとして,無罪が言い渡された裁判員裁判である(平成28年2月26日大阪地方裁判所)。講演では,各弁護士が,公判期日取消をめぐり,限られた時間の中で,医学文献の調査や専門医師に問い合わせる等全力を尽くし,説得力ある資料を作成提出するに至ったことが語られるとともに,実際に裁判官及び裁判員に対して行った冒頭陳述と最終弁論が再現された。今年度も,法曹養成専攻所属学生だけでなく,学部新入生や他学部生も多く出席した。参加者からは,「法律を学ぶ意欲が高まった」「弁護士が判決までに何をしたのかを聞くことができ参考になった」「テレビで見るより弁護士がかっこよくみえた。法曹に興味がわいた」「公判廷に至るまでの道程や裏側を知る貴重な経験だった」「実際に裁判員裁判において行った冒頭陳述や最終弁論の様子について知ることができた」等,反響もよく,盛況に終わった。

[15] 「東日本大震災とセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる復興支援-子ども参加によるまちづくり事業での活動を通じて-」

開催日 2015年12月17日
講演者 中村悠氏(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン東日本大震災復興支援事業部職員)
内容  大阪市立大学法学部の卒業生で、東日本大震災発生直後から現地でセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの職員として復興支援に関わってきた中村さんに、まちづくりの課題や復興にあたってのさまざまの課題について、特に子どもに視点を置きながら、聴衆とのやりとりや映像も交えながらお話いただきました。子どもたちのフラストレーション、子どもに対する虐待、放射能リテラシーをめぐるさまざまな問題、子どもならではの地域復興計画やまちづくりの発想、そしてそれらを活かした取り組みなど、有意義なお話を伺うことができました。

[14] 事件の真相に迫る―何が彼女をそうさせたか―

開催日 2015年4月21日
講演者 大江洋一氏(本学法科大学院特任教授、弁護士)
内容  理論と実務との間に架け橋をかけることを目的とした法曹養成専攻向けのプログラムを、昨年に引き続いて学部学生等にも公開して開催した。講演者からは、広汎性発達障害と診断された長男の将来を悲観して殺害したとして、その親に対して公訴が提起された事例を素材に、犯罪事実そのものには含まれないことであっても、弁護人が依頼人のためにできることは何か、また当事者や社会にとって最良の選択は何かという点から事件の真相に迫る必要性について問題提起がされ、理論面や刑事手続の観点からの三島聡教授のコメントを聞いた。実務家の立場からの貴重なお話には、「原理的で、普段はなかなか考えない問題を改めて考えさせられた」等の意見が多数寄せられたほか、単なる事案の解明にとどまらず、障がいやそれに対応する取り組み、刑事裁判の真の意味等について深く考えるきっかけとなったという感想が寄せられた。

[13] ワークライフバランスを考える

開催日 2014年12月18日
講演者 高亜希氏(NPO法人「ノーベル」代表)
内容  子どもが熱を出しても保育所に預けられない、会社を休みづらい等、現代社会で働く女性の状況に問題意識を持ち、自らNPO法人を立ち上げ病児保育事業に取り組む高氏に仕事と家族の両立を目指す現場の話を伺うと共に、公務員試験、民間企業での就職活動を経験した先輩に経験談を聞き、キャリアについて考える、2部構成のセミナーを学生による立案で企画し、実施した。

[12] 知的ハンディキャップを負った青年の事件を担当して

開催日 2014年4月15日
講演者 髙見秀一氏(本学法科大学院特任教授、弁護士)
内容  本企画は、理論と実務の架け橋をはかることを目的としており、好評を博した昨年に続き開催された。刑事事件の被疑者や被告人になる人の中には、様々なハンディキャップを負う人がいる。そのハンディキャップが原因で事件を起こしてしまう人がいる一方で、ハンディキャップが原因で、無実なのに濡れ衣を着せられる人もいる。知的ハンディキャップが原因で冤罪の被害者になりかけた青年の事件を担当された髙見弁護士より、実際の活動内容だけでなく、その事件を通じて感じたことをお話しいただいた。当日は、法曹養成専攻所属学生だけでなく、新入生を含む学部学生も多く出席した。聴講者からは、学部学生でも「分かりやすくおもしろかった」、「被疑者との手紙のやり取り等、実際の事件の流れを知ることができた」、「フェアな法律家(特に検察官)になりたい。よい刺激になった」、「取調べ可視化の重要性を再確認できた」等多くの感想が寄せられた。

[11] 国際通商法の実務の世界―外国法事務弁護士としてー

開催日 2013年12月9日
講演者 梅島修氏(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所パートナー)
内容  日本におけるWTO、国際通商分野の第一人者である講演者は、外国法事務弁護士として、米国、EU、日本などにおけるアンチダンピング、相殺関税調査などの国際通商問題に関する助言をクライアントに提供し、またWTO紛争解決手続では、当事国、第三国参加の弁論、支援を行ってきた。その実務経験に基づき、とくにアンチダンピング調査においてクライアントである輸出国企業へどのようなアドバイスを行ってきたのか、TPPなどの自由貿易協定(FTA)おけるセーフガード条項の意義などのほか、講演者自身が外国法事務弁護士になったきっかけなどについてお話していただきました。

[10] 日本とインドネシア

開催日 2013年4月25日
講演者 田中元康氏(在インドネシア日本大使館一等書記官)
内容  日本とインドネシアの最近の関係、地域経済統合に対するインドネシアの姿勢、インドネシアの最近の国内情勢など、および外交官という職業についてお話いただきました。

[9] 刑事裁判と法曹の役割

開催日 2013年4月16日
講演者 大江洋一氏(本学法科大学院特任教授、大阪弁護士)、高見秀一氏(本学法科大学院特任教授、大阪弁護士会)
内容  本企画は、理論と実務の架け橋をはかることを目的としている。大江氏は「判例も変えられる」、髙見氏は「私が担当した裁判員裁判での、理論と実務の架橋の実際」という演題で、刑事裁判に長く携わってこられた経験から、訴訟前及び審理における弁護活動だけでなく、当事者に寄り添って何ができるかをお話しいただいた。当日は、法曹養成専攻所属学生だけでなく、法曹や法律実務に関心をもつ法学部生も多く出席した。聴講者からは、「法曹を目指す上で非常に参考になった」「モチベーションがあがった」「貴重な経験」「座学だけでは学べない弁護士の仕事の大変さおもしろさを学ぶことができた」等多くの感想が寄せられた。

[8] 最近の中小企業における労働問題-メンタルヘルスを中心として-

開催日 2012年11月12日
講演者 山本健司氏(本学法学研究科法曹養成専攻特任教授、弁護士)、根本到氏(本学法学研究科教授)
内容  最近の中小企業において、労働者のメンタルヘルスに関する問題が多発しています。その点に関して労働法の見地から検討し、中小企業の労務担当者の取るべき対策についてお話いただきました。

[7] 自殺を防ぐにはどうすればよいか

開催日 2012年10月22日
講演者 藤藪庸一氏(NPO法人白浜レスキューネットワーク代表、白浜バプテストキリスト教会牧師)
内容  和歌山県白浜で自殺を図ろうとする人を保護し、その生活の自立を支援する活動や自殺予防活動をしている藤藪氏に、現代社会で増え続ける自殺に対する行政機関との連携や自殺を防ぐための教育活動、社会復帰へ導く収益事業などの取り組みについてお話いただきました。

[6] 古典的自由主義と現代民事訴訟法

開催日 2012年10月6日
講演者 ロルフ・シュテュルナー氏(フライブルク大学法学部教授)
内容  ヨーロッパの法文化的伝統において、古典的自由主義と連帯という二つの理念は排他的関係に立たぬという視角を基礎に据え、民事訴訟法上の基本的な論点である「当事者自治」や「裁判官の役割」に即しながら民事訴訟の現代的現象に重厚な分析を行いました。

[5] 障がい者の人権と介護保障

開催日 2012年6月27日
講演者 石田雅俊氏(和歌山石田訴訟原告)、弁護士長岡健太郎氏・弁護士青木志帆氏(同訴訟弁護団)
内容  障がいのある人もない人もすべての人が人間らしい生活のできる社会を目指し、24時間介護を権利として求める訴訟が提起され、原告一部勝訴の判決が出されました。「仮の義務付け」を巡って判断が分かれたこの事案について、当事者と弁護団にお話いただきました。

[4] 犯罪被害者と刑事司法

開催日 2010年12月2日
講演者 片山 徒有 氏(片山隼君事件被害者遺族、「被害者と司法を考える会」代表)
内容  刑事司法は、近時、犯罪被害者保護の観点から大きく変容しつつあります。1997年にダンプカーによるひき逃げでご子息隼君を亡くされた片山 徒有 氏にお話いただき、被害者支援はどうあるべきか、刑事司法は被害者の支援や保護とどのような関係にあるべきかについて考えました。

[3] 中国の弁護士から見た国際ビジネス法務の実際

開催日 2010年10月21日
講演者 賈 維恒(Jia, Weiheng) 氏(中国・米国連邦裁判所・ニューヨーク州 弁護士)
内容  大阪市大の卒業生であり、弁護士として活躍中の賈氏に、中国の弁護士として携わった国際ビジネス法務の実務経験(日系企業の合併に関わる中国独禁法上の問題や、日・中・米企業間の国際取引紛争処理など)についてお話いただきました。

[2] 地方行政の実態と地方公務員の仕事

開催日 2010年7月20日
講演者 喜多見 富太郎 氏(大阪府政策企画部企画室統括参事)
内容  大阪府を中心に30年近く地方行政に携わられている喜多見氏に、地方行政の実態、地方公務員の仕事の内容についてお話いただきました。

[1] 公取委の役割・機能と最近の独禁法事件について

開催日 2010年1月20日
講演者 小室 尚彦 氏(公正取引委員会事務局総務管理官)
内容 独禁法の執行強化が進められ、法改正があいついで行われ(平成17年・21年)、他方では、従来、事業規制が行われてきた分野においても競争導入・促進政策がとられるようになる中、公取委の役割・機能も変化してきています。小室氏に現在の公取委の機能・手続を紹介していただくとともに、最近の独禁法事件を通観し、独禁法・競争政策の日本経済・社会における現代的意義について、お話いただきました。